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マネジメント・管理職研修の今後の課題

1)求められる「組織変革力」「次世代リーダー育成」への取り組み

● 経営課題と直結したより効果的な対応については、まだまだ不十分

労務行政研究所の「ミドルマネジャーの現状に関するアンケート」(2012年)によると、「管理職としてのあるべき姿」と「現状」のギャップを埋めるために行っている管理職育成上の取り組みでは、日々の業務を進めるための実務的スキル研修が多く挙げられていた。しかし、最もギャップの激しい「組織変革力」「次世代リーダー育成」向上への取り組みは、あまり行われていない。事実、自社の育成体系について、課題を抱えている企業が数多く見られている。管理職研修の重要性は認識しているが、経営課題と直結したより効果的な対応については、まだまだ不十分と言える。

前述したように、全社的な経営課題を現場のレベルへと落とし込み、そのために必要な現場での状況判断や運営が的確にできることが管理職に求められている現在にあって、これらのテーマについての早急な対応が、これからの管理職研修で取り上げられるべき課題ということができるだろう。

2)管理職研修を経営層の早期選別に用いる

● 経営層の早期選抜を目指し、長期にかけてじっくりと育成し見極める

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経営課題への対応という点で近年注目されるのは、従来の一律で行う教育から選抜教育へと変容していることである。早い段階で将来の経営幹部を選抜し、将来の事業構想を練り上げることのできる経営層の早期選抜を目指しているのだ。これからを担う30代、40代社員のマネジメント経験が不足しており、数年後には主要なポストを担当する次世代リーダーが不足する恐れがある。そのような状況を避けるためにも、新しい発想の下での管理職教育のあり方が求められる。

実際の研修例を見ると、選抜した後の育成とリーダーとしての見極めのプロセスが非常に重要のようだ。プログラムは長い期間をかけて行われることが多く、短いものでも半年、長期では3~5年に及ぶケースもある。この期間内に一貫性のある育成方針の下、定期的な集合研修とさまざまな課題が与えられる。また、プログラムの中身を見ると、成果を重視したプログラムであることが特徴だ。そこでは自社の経営や現場における現実の問題・課題を扱うと同時に、研修で学んだスキルを実務で使い、成果に結び付けていく工夫が求められている。そして、個別指導・個別育成の徹底。これによって教育効果がより高まり、個別人材の見極めを可能にしていくことになる。そのためにも、事前に育成対象者個別の特性や資質的な課題などを把握するスクリーニングが欠かせない。選抜試験の結果のほか、360度診断や資質診断などを行い、以降の育成についても個別に管理し、育成課題の履歴を蓄積し、対応していくことが求められる。

このような経営層の早期選抜を睨んだ管理職研修を成功させるためには、以下がポイントとなる。

【経営層の早期選抜を睨んだ管理職研修を成功させるポイント】
将来の人材ニーズを焦点に入れる 今必要となる人材(要件)に焦点を当てると同時に、将来の変化を見据えた上で、可能性のある人材を幅広く特定する。
ポテンシャルの高い部下を対象とする 上司から見て「よくやっている」部下を対象にするのではなく、上司のやっていることを発展させてくれる可能性の高い部下を対象とする。自分自身が今行っている経営やマネジメントスタイルとは違うタイプを選ぶことによって、変化する経営環境に対応できる人材の拡充につながる。
基準やプロセスの透明性を高める 候補者が選ばれる基準やプロセスの透明性を高め、オープンにしておく。「自分は候補に選ばれているのか」「今回、選ばれていなければ、今後選ばれることはないのか」といった不安感の高い状況では、社内のモラールが低下してしまう。

3)会社としての支援体制の構築

● 時代の変化により必要となる知識の習得

過去のデータや経験では判断できない課題に対応するためには、現在、管理職が抱える課題をいち早くつかみ、その解決につながる対策を迅速に行わなければならない。そのためには、上位職による指導の強化、会社による支援体制の拡充が必要だ。そして、次々と施行される労働関係法制や、メンタルヘルス、ハラスメントなど、近年増加傾向にある課題への対応でも、会社としての支援対策が求められる。

また、論理的思考力の向上やカウンセリング・マインドの醸成、コーチングスキルの習得など、専門性の高い分野に関しては、専門部署担当者や専門家を招いての研修が有効である。さらに、外部教育機関や公的機関主催による外部研修に派遣させることも効果的だろう。なお、部門・部署によって関心度合いが異なる知識などについては、選択型研修の一環として実施することを考えておく必要がある。

●専門部署や専門家による助言・指導体制の確立

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昨今は労働関係法制やメンタルヘルス、ハラスメントへの対応が求められているが、これらは現場の管理職が独自で判断を行うことが難しく、誤った判断を下すと会社として大きな問題につながりかねない。このような管理職が迷う課題に直面した時や、個別的な悩みに関しては、助言・指導できる専門部署や相談窓口の設置、あるいは専門家による定期的な勉強会の開催など、会社としての支援体制の拡充が求められる。

一方で、同期に管理職に昇格し、同じ研修を受けても、数年後には管理職として成長に差が生じるケースが少なくない。その理由の一つとして、管理職自身の自助努力の差による部分が大きいと思われる。そのためにも自己啓発のための研修メニューの提示や、経費負担といった支援策を講じることも必要である。


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