企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

管理職研修に盛り込む「プログラム要件」

1)「新任管理職(管理職昇格時)研修」の場合

● 管理職に求められる必須の能力(役割)を集合研修で身に付けさせる

Photo

「新任管理職(管理職昇格時)研修」とは、管理職昇格者だけを対象とした教育プログラムである。管理職へと昇格した年度の比較的早い時期に行うことが多く、形としては「階層別研修」の一環として実施される。職位で言えば、係長、課長、部長が該当する。ただ最近では、新任管理職研修は課長職に特化して行われる傾向が強い。

管理職に昇格して、まず求められるのは、「(経営の一貫としての)管理職としての意識改革」と「部下の管理能力強化」である。研修では、この二点に対する役割を押さえた教育プログラムが必要となる。しかし、現在では多くの企業で組織がフラット化し、その結果、部下のいないスタッフ系の管理職やプレイングマネジャーが増えている。そのため、これらの管理職に対しては、部下がいる前提での管理職昇格時の教育と、プログラム内容を別途設けて行う仕掛けも必要になる。ところで、新任の管理職と既存の管理職の研修を同時に実施するケースもあるが、「管理者としての意識改革」など目的が異なる部分があるので、別々に行う方がいいだろう。

新任管理職研修に盛り込むプログラムとしては、以下のようなものが一般的である。また、ここに示したような新任管理職に求められる能力(役割)を集合研修などで身に付けされると同時に、昇格時というタイミングをとらえて、「コンプライアンス」や「ビジネス倫理」「メンタルヘルスマネジメント」など、新任の管理職として最低限知っておくべき「基礎知識」を習得させることも欠かせない。

【新任管理職研修に盛り込むプログラム内容(例)】
情報関係 管理職としての自覚
  • 管理職(マネジャー)とは何か(一般社員との違い)
  • 管理職の機能(期待される役割)
  • 管理職の持つ性格(及ぼす影響)
  • これからの管理職のあり方(経営の一端としての自覚)
業務側面 業務運営能力の向上
  • 業務運営能力とは何か(経営業務管理と非経営的業務管理)
  • 案件処理
  • 説得力の向上
組織運営能力の向上
  • 組織能力とは何か(組織を作る、組織を動かす)
  • 人選の仕方(適材適所)
  • 職場環境作り
  • 報告・連絡・相談
目標指向(達成)力の向上
  • 目標指向(達成)力とは何か(目標は必達)
  • 現状と問題の把握、課題の抽出
  • 目標の設定、方法の決定(PDCA、KPI)
対人側面 育成能力の向上
  • 育成能力とは何か(部下に任せ、結果を出させ、成長させる)
  • 育成の原則・方法論
  • 新人、中堅社員の育成
動機づけ能力の向上
  • 動機づけ能力とは何か(動機づけ理論)
  • 個人・集団への動機付け
信頼の向上
  • 信頼とは何か(信頼が全ての基本))
  • 高い信頼を得るためには
イノベーション イノベーション(自己革新力)の向上
  • イノベーション(自己革新力)とは何か
  • イノベーション(自己革新力)の高め方

2)「(既存)管理職研修」の場合

● 既存の管理職研修では、組織化能力や部下の指導教育の強化が求められる

Photo

一方、「(既存)管理職研修」は、役割認識に重きを置く新任管理職研修とはやや異なり、管理職としての意識と行動の強化、そして管理能力の確認を主目的に実施することが多い。既存の管理職教育では、組織化能力や部下の指導教育の強化が目的となる。

管理職に対して求められる能力も、管理能力から経営知識や革新能力(事業創造力)に転換している。近年の環境変化の中で、管理職の変革能力が重要視されるのは当然のことだろう。戦略思考、マーケティング、ロジカルシンキングなどのテーマが増えていることも、最近の管理職研修の特徴だ。さらに、これからのマネジメントにおけるベースとなる異文化コミュニケーション能力、ダイバーシティ、倫理観、洞察力など、「人間力」の向上も必須となっている。

以上のように考えると、管理職研修で取り込むべき研修内容としては、以下のようなものが一般的になるだろう。しかし、どのような研修プログラムにするかは、各社が置かれた状況や抱えている問題点・課題によって異なるので、注意が必要だ。

【管理職研修に盛り込むプログラム内容(例)】
課長職相当
  • 経営環境、自社を取り巻く環境の理解
  • マネジメント理論、ロジカルシンキング、リーダーシップ(経営戦略、組織活性化)
  • 生産・技術動向、マーケティング・販売動向
  • 財務関係(財務諸表の分析、コスト管理、利益管理)
  • 人的資源管理(HRM)(人材の活用、人事制度の運用、労働関連法規)
  • 異文化コミュニケーション能力、ダイバーシティ、倫理観、洞察力
  • 問題解決の手法 など
部長職相当
  • 経営課題の把握、経営トップへの提言能力
  • 将来的な経営を取り巻く環境の動向(国内外の政治・経済・社会動向、国際化、少子高齢化、情報化、グローバル化、価値観の多様化)
  • 経営戦略と新規事業開発(戦略思考)
  • 経営分析(財務諸表の理解と問題点の抽出)
  • 組織論と人間関係論
  • 文化、歴史、宗教 など

いずれのプログラムも講義だけではなく、ディスカッション、ケーススタディ、ビジネスゲームなどのグループワークを多用し、実践的に状況をシミュレーションしながら協働作業で行っていくことが効果的である。また、戦略的な判断力を養成するために、経営診断、組織診断の手法を用いたり、環境分析や経営計画の策定などの実習を含め、経営的な視点からの教育内容・手法を実施するケースが増えている。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

よくわかる「マネジメント・管理職研修」講座

管理職が置かれた「現状」

管理職が置かれた「現状」

経営課題を現場レベルで状況判断し、対応できる管理職が求められている。しかし、実際の管理職の現状はどうだろうか。アンケートをもとに考察し、管理職・マネージャのおかれている課題を整理する。


管理職に求められる「役割」と「育成の方向」

管理職に求められる「役割」と「育成の方向」

経営課題を現場レベルで状況判断し、対応できる管理職が求められている。しかし、実際の管理職の現状はどうだろうか。アンケートをもとに考察し、管理職・マネージャのおかれている課題を整理する。


今、求められるマネジメント・管理職研修とは

今、求められるマネジメント・管理職研修とは

管理職に対する研修ニーズが高まっている一方で、管理職の多くがプレイングマネジャーであり、研修・育成の時間が持てないという矛盾した問題を抱えている。ここでは「あるべき姿」と「現状」のギャップを埋める管理職育成の取り組みを紹介する。


管理職研修に盛り込む「プログラム要件」

管理職研修に盛り込む「プログラム要件」

管理職研修に盛り込む「プログラム要件」を「管理職昇格時」と「既存の管理職研修」の2つの段階で整理する。


マネジメント・管理職研修をどう企画・実施するか

マネジメント・管理職研修をどう企画・実施するか

現在、変革期を迎えているマネジメント・管理職研修だが、研修を企画・実施する場合、どのような点を重視し、自社に合った内容を作成していけばいいのか。以下では、そのステップと留意点を整理していく。


最近のマネジメント・管理職研修の「事例」

最近のマネジメント・管理職研修の「事例」

求められる役割が多様化、複雑化している近年の管理職であるが、大切なのは自社の管理職に対して具体的に何を求め、何を目的とした研修を行うのかを明確にし、プログラムを企画することである。以下、目的を絞り込んだ管理職研修のケースを紹介する。


マネジメント・管理職研修の今後の課題

マネジメント・管理職研修の今後の課題

求められる「組織変革力」「次世代リーダー育成」への取り組みをまとめ、企業としてどのような支援体制が必要なのかを解説する。


テーマ別Index
研修・人材育成
社員研修を検討する際に押さえておきたい基本とノウハウ。研修の目的別に解説します。
社員研修・人材育成
新人研修・新入社員研修
マネジメント・管理職研修
モチベーション・組織活性化
グローバル人材育成
コーチング研修
コミュニケーション研修
営業・販売研修
eラーニング
採用
人事担当者のための採用ノウハウ。採用の目的別に、基本、準備、注意点まで網羅。
中途採用
人材紹介
アルバイト・パート採用
人材派遣
新卒採用
就職サイト
新卒紹介
新卒採用アウトソーシング
新卒採用コンサルティング
内定者フォロー
ソーシャルリクルーティング
適性検査
人事戦略・人事系IT
企業に不可欠な人事システム、人事制度を解説。この分野のトレンドも把握できます。
人事制度
人事システム
給与計算
給与計算代行
人事労務
テーマに特化した労務関係の取組みを解説。導入の際のヒントが見つかります。
ワーク・ライフ・バランス、働き方改革
福利厚生
社宅・社宅代行
コンプライアンス・企業倫理
メンタルヘルス
その他
それぞれ分野ごとに、基本からサービスを検討する際のポイントを詳しく説明します。
貸会議室・研修施設

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

社宅でもUR賃貸住宅

記事アクセスランキング

<アンケートのお願い>採用マーケットの構造変化に関する意識調査

注目コンテンツ


「健康経営特集」
従業員の健康づくりを通じて生産性向上を目指す!

健康経営の推進に役立つ多彩なプログラムをご紹介。資料請求のお申込みや資料のダウンロードも可能です。



『日本の人事部』受けさせたいスキルアップ系講座特集

コミュニケーションや英語力、個人の生産性やPCスキルなど、ビジネス上必須となる多彩なプログラムをご紹介


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


「採用」×「AI」で、採用成果を実現する これからの人事に必要なもの

「採用」×「AI」で、採用成果を実現する これからの人事に必要なもの

HRの領域ではその時々、トレンドとなるワードがあります。最近は「AI」...


『日本の人事部』 主催イベント

日本の人事部「HRカンファレンス」

日本最大のHRイベント

日本の人事部「HRカンファレンス2017-秋-」を11/14(火)~22(水)に開催します。


日本の人事リーダー会

日本の人事リーダー会

早稲田大学戦略研究センター教授の枝川義邦氏を講師に迎え、第11回会合を8/30(水)に開催。