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今、求められるマネジメント・管理職研修とは

1)管理職に対する研修ニーズ

● 高い研修ニーズとは、程遠い状況に

近年の企業における研修の傾向を見ると、入社年次や職位ごとに必修で受講する「階層別研修」は減少している。一方、ほとんどの企業で行われている階層別研修もある。一つは、新入社員に対する導入研修。もう一つは、初めて部下を持つことになり、人事考課を実施し、部下を評価・育成する立場となった管理職に対して行う「新任管理職研修」である。この二つの研修に共通するのは、これまでとは立場・役割が大きく変化し、態度・行動、役割を大きく転換させることが求められる「節目」に行うという点である。新入社員研修と新任管理職研修に対するニーズは依然として高く、今後とも重要性は増すと考えられる。

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しかし、現場の管理職を取り巻く状況を見ると、そのような研修ニーズとはほど遠い状況にある。まず、管理職の多くがプレイングマネジャー化している。労務行政研究所が行った「ミドルマネジャーの現状に関するアンケート」(2012年)を見ると、過去5年間の職場の環境変化において、9割近くの企業で「プレイングマネジャー化が進展した」(87.6%)と回答している。その影響からか、現場における人材育成全般の課題として、「管理職の仕事が忙しく、育成する時間がない」(61.9%)をはじめとして、「管理職が目先の成果を優先するあまり育成がなかなか進まない」(58.1%)、「どのように育成すればよいかが分からない管理職がいる」(50.5%)などを、過半数の企業が挙げている。

問題は、プレイングマネジャーの役割ウエートが高くなることによって、目の前の業務に埋没しがちになること。その結果、本来のマネジメント業務、部下育成などが十分に行われなくなることだ。このような状況を克服するために、管理職研修を単にマネジメントスキルを学ぶだけではなく、自分自身の振り返りの場、さらには経営戦略を実現するための気付きの場、動機づけの場として設ける企業もあるが、その数はまだ多いとは言えない。

図表1:現場における人材育成全般について課題として認識している点(上位5項目)(%)
管理職の仕事が忙しく、育成する時間がない 61.9
管理職が目先の成果を優先するあまり育成がなかなか進まない 58.1
どのように育成すればよいかが分からない管理職がいる 50.5
管理職が部下の評価を十分に・適正に行えていない 48.6
職場に若手を育成できる人材が不足している 44.8

2)「あるべき姿」と「現状」のギャップを埋める管理職育成の取り組み

● 日々の業務を進めるための実務的スキル研修が中心。求められる役割に対する取り組みは少ない

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考えなければならないのは、多忙であるがゆえに管理職として「あるべき姿(求められる役割)」と「現状(実践度)」との間に、かなりの“ギャップ“が存在していることだ。このギャップを埋めるために、企業はどのような育成上の取り組みを行っているのか。同じく労務行政研究所の「ミドルマネジャーの現状に関するアンケート」(2012年)を見ると、「労務管理意識、コンプライアンス意識向上のための研修実施」(57.1%)、「コーチングや傾聴術など、マネジメントやコミュニケーションに関するスキル研修」(45.7%)、「評価者研修(評価に当たってのコミュニケーション、ロールプレイング)」(44.8%)など、日々の業務を進めるための実務的スキル研修が多く挙げられている。

それに対して、今、管理職に期待されている「部下のキャリア・将来を見据えた指導・育成」「経営環境の変化を踏まえた新しい事業や仕事の企画立案」などに関する具体的な取り組みは、あまり行われていない。本来、こういった点への取り組みが強化されなければならないのにもかかわらず、依然として実務的なスキル研修へのウエートが高いのは、大きな問題と言えるだろう。

例えば「新任管理職研修」を実施する場合でも、一人ひとりが管理職としての当事者意識を持つような動機づけを図る工夫を行う。あるいは、選抜型の階層別研修として「部長候補研修」を実施する、役割等級に応じた「役割認識研修(セミナー)」を行うなど、いろいろとやり方はあるはずだ。いずれにしても、今後はスキル重視から役割・期待重視へと、管理職研修のプログラムを変化(進化)させていく取り組みが求められる。

図表2:「あるべき姿」と「現状」のギャップを埋めるために行っている、管理職育成上の取り組み(上位5項目)(%)
労務管理意識、コンプライアンス意識向上のための研修実施 57.1
コーチングや傾聴術など、マネジメントやコミュニケーションに関するスキル研修 45.7
評価者研修(評価に当たってのコミュニケーション、ロールプレイング) 44.8
社外セミナー、講演会への参加 42.9
研修などの場による、同職位のミドル同士での関係性強化、コミュニケーション促進 44.0

*出所(図表1~2):「ミドルマネジャーの現状に関するアンケート」(労務行政研究所/2012年)


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