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5. 人事システムの種類

技術的に見た人事システムの種類

人事システムもITシステムなので、それを利用するためのハード/ソフトの形態によっていくつかの種類に分類することができる。どの形態を選択するかは、それぞれの企業が持つ情報システムについての考え方(ポリシー)に大きく影響されるため、人事部門だけで決めることはできない事柄といえる。

しかし、ハード/ソフトの形態によって利用者の使い勝手も変わってくることから、人事システム自体が導入後十分に活用されるかどうかという問題に直結してくるのも事実である。従って人事としては、それぞれの種類とその特色を一通り押さえておきたいところだ。

1)オンプレミス(クライアント・サーバー型)

自社内にサーバーを置き、専用回線でクライアント(利用者の端末)と結ぶ方式。サーバー、回線ともに自社で管理できるので、外部への情報流出などの危険性はもっとも少ないと考えられる。その分、サーバーと回線を自社で運用・管理するためのコストの発生は避けられない。また、データベースなどミドルウェアの管理も自社で行う必要がある。

2)クラウド

自社内にサーバーを持たず、専門企業が管理するデータセンターにソフトウェアやデータベースを預けて運用するのがクラウドコンピューティングだ。データセンターでの管理は、災害や事故、犯罪などに対しては自社サーバーよりも堅牢と考えられ、また管理コストについても低減できるとされる。

なお、クラウドは通信回線とソフトウェアの提供形態からさらに細かく分類することもできる。

a)通信回線による分類

イメージ●プライベートクラウド
データセンターとユーザー企業の間を専用回線で結ぶもの。当然回線使用料は発生するが、セキュリティ面のリスクは小さい。

●パブリッククラウド
データセンターとユーザー企業の間を、インターネット回線を利用して結ぶもの。コスト的なメリットは大きいが、セキュリティに相応の技術力が必要になる。人事システムの場合は、個人情報を大量に扱うこと、また、タレントマネジメントシステムに至っては企業戦略に関わる重要情報も含まれてくることなどから、インターネットの利用は慎重になるべきだという意見もある。

b)ソフトウェアの提供形態による分類

●SaaS
専用線、またはインターネット経由でのソフトウェアパケージの貸し出しサービス。「ASP」ともいわれた時期もある。ソフトウェアの管理はすべてベンダー側が行うので、ユーザー企業としてはカスタマイズの余地が少ないかわりに、管理の手間やコストを削減できる。業務フローが確立している定型業務の処理に向く。

●PaaS
インフラ、およびデータベースなどのプラットフォームを専用線、またはインターネット経由で貸し出すサービス。人事システムのソフトウェア自体は各企業が自由にカスタマイズして運用できる。

●IaaS
専用線、またはインターネット経由でデータセンターのインフラのみを貸し出すサービス。クラウドの中ではもっとも自由度が高いが、システム構築・運用に関しては、自社サーバーと持つのと同等かそれ以上の技術が必要になる。

パッケージとしての人事システムの種類

自社開発によるオリジナルのソフトウェアは別として、パッケージソフトも大きく二つのカテゴリに分類することができる。

1)Best of Breeds(個別業務に最適のパッケージを選択する)

ベスト・オブ・ブリーズとは、個別業務に最適のパッケージソフトを選び、それらを組み合わせて利用する考え方だ。目的の違う人事・給与システムと戦略人事システム(タレントマネジメントシステム)には、異なるベンダーの製品を使ってもいいという考え方である。もちろん、目的と機能面から考えて、同一ベンダーの製品が最適と判断するケースもあるだろう。

最適なパッケージを利用することで、それぞれの局面で独自の戦略的な動きに対応することができる。簡潔にいえば、最高のパフォーマンスが得られるということである。反面、異なるシステムやデータベースを連携させる必要があることから、一定の技術的熟練が必要となる。

2)ERP:Enterprise Resource Planning(統合業務パッケージの人事モジュール)

イメージ世界的に広く利用されているERPは、全社のデータを一元管理することを前提とするシステムだ。そのため人事システム間だけでなく、会計など幅広いシステムとの連動がしやすいのが特色だ。ただ、海外ベンダーの製品の場合、日本では一般的だが海外ではあまり例がないといった人事制度には対応していないことも多い。その場合、カスタマイズやアドオン開発に別途費用と手間が発生することになる。

一般的に海外ベンダーのERPは会計システムが土台になっていることが多く、会計にERPを使っていない企業が人事モジュールだけERPを導入するというケースはほとんどないと考えられる。ただ、国内ベンダーからは、人事・給与システムが土台となったERPもリリースされており、この場合は会計システムとは関係なく人事システムだけERPを導入するという可能性も十分にあり得るだろう。


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よくわかる「人事システム」講座

1. 人事システムとは

1. 人事システムとは

「人事システム」とは、人事のさまざまな業務をIT化することで企業経営に貢献するシステムである。業務の効率化やコスト削減だけにとどまらず、企業の組織力を高め、経営戦略実現をサポートするための強力なツールとしての人事システムについて見ていくことにする。


2. 人事システムの歴史

2. 人事システムの歴史

人事システムは、時代によって移り変わっていった人事の役割とともに、その機能やシステム構成を進化させてきた。その時々の経済情勢や社会のあり方、また、IT技術の進歩に大きな影響を受けている。1980年代以降の人事をとりまく状況と人事システムについて整理する。


3. 現代における人事システムの役割

3. 現代における人事システムの役割

現代における人事システムの役割を考えるうえで、「タレントマネジメントシステム」「人材マネジメントシステム」などの戦略人事システムは、避けて通れない。人事システムを構成するもう一方のシステムである人事・給与システムは、すでに長い歴史があり、その概要や機能も広く知られている。そのことを前提として、本章では2000年代以降、急速に存在感を増した戦略人事システム、中でもタレントマネジメントシステムの役割について、考えていく。


4. 人事システムの主な機能

4. 人事システムの主な機能

同じ人事システムではあるが、タレントマネジメントシステムには人事・給与システムとは異なる機能的な特性が求められる。人事・給与システムの場合、処理する業務も定型業務がほとんどであり、求められるのは確実性と効率性だ。しかし、タレントマネジメントシステムの場合は、利用者は人事以外にも現場の管理職、経営者など幅広く、またその利用目的も企業戦略の立案や実行など非定型の業務がほとんどだ。それぞれの基本的な構成について整理する。


5. 人事システムの種類

5. 人事システムの種類

人事システムは大きく「人事・給与システム」と「戦略人事システム」に分けられるが、それをさらに細かく「目的別に見た人事システムの種類」「技術的に見た人事システムの種類」に分類する。


6. 人事システム導入のメリット

6. 人事システム導入のメリット

ITを活用することで、給与計算のような定型業務を正確化・効率化し、コスト削減を行うのはもはや当然だ。今改めて人事システム導入のメリットを考えることは、その人事システムが企業戦略の中でどういうメリットを生むのかを検討することだといえる。効率化・コスト削減というIT化のメリットを大前提として、さらに、人事システムには企業力を向上させるためにどのような力があるのかをまとめる。


7. 人事システムの選び方

7. 人事システムの選び方

人事システム、特に人事・給与システムに関しては、多数のベンダーがパッケージソフトをリリースしており、ユーザー企業の規模や成長ステージにあわせて、それぞれ最適の機能を盛り込んで提供している。まずは企業の身の丈にあったパッケージを比較検討していけば、機能的にも予算的にもある程度は絞り込める。タレントマネジメントシステムなど戦略人事システムに関しては、パッケージでリリースされている製品の種類は、人事・給与システムほど多くない。そのため企業規模で選ぶというよりは、何がしたいのかという目的重視で選定を進めるのがよい。ここでは人事システムの選び方を解説する。


8. 人事システム導入にあたっての注意点

8. 人事システム導入にあたっての注意点

●人事システムの導入は中期的・長期的視点で計画的に取り組まなくてはならない。●タレントマネジメントシステム導入は「投資」という発想で計画すべきである。●カスタマイズやアドオン開発は将来のことも考えて行う。●「人事」と「システム」の両方がわかる人がいるのが理想。など、人事システムを導入する際に注意すべき点を述べる。


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