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2. 人事システムの歴史

人事をめぐる状況とともに変化してきた人事システム

人事システムは、時代によって移り変わっていった人事の役割とともに、その機能やシステム構成を進化させてきた。その時々の経済情勢や社会のあり方、また、IT技術の進歩に大きな影響を受けている。下記の表は、1980年代以降の人事をとりまく状況と人事システムについて整理したものである。

■1980年代以降の人事をとりまく状況と人事システム
年代 人事をめぐる状況 人事システム インフラ
1980年代まで
  • 終身雇用
  • 職能資格制度
  • 新卒採用中心
  • 人事・給与システム
  • 汎用系
1990年代
  • 成果主義
  • リストラ(早期退職)
  • 中途採用
  • 選抜人事
 
  • オープン系
  • ERP
2000年代以降
  • 雇用延長
  • 非正規雇用
  • ダイバーシティ
  • グローバル化
 
  • 戦略人事システム
  • タレントマネジメント
  • 人材マネジメント
 
  • クラウド
  • SaaS

【1980年代】業務効率化を主目的に人事・給与システムを導入

1980年代までの日本の人事は、「終身雇用」「職能資格制度」「新卒採用中心」という日本型人事制度をベースにした業務が求められる部門だったといえる。それは一部の大手企業に限られた話だという考え方もあるが、この時代の人事システムのあり方を決めていたのは、まさにその大手企業だったのも事実である。従って、1980年代までの人事システムは「労務・給与・勤怠」を一般ルールに従って管理するシステムであり、その目的は主に「業務の効率化、コスト削減」であった。システムを利用するのはほぼ人事部門であり、技術的には汎用機をベースに自社開発した独自のソフトウェアを利用することが多かった。

【1990年代】環境変化に応じて使いやすいオープン系が広がる

1990年代の初頭にバブル経済が崩壊し、人事をとりまく環境は大きく変化した。終身雇用は保証されなくなり、リストラ・早期退職が多くの企業で行われた。職能資格制度から成果主義に移行する企業が増え、新卒採用中心から即戦力を重視する中途採用の比重が高まり、人材育成は横並びではなく選抜で行われるようになる。

イメージつまり、1980年代までのような均一的管理による人事が難しくなり、変化に柔軟に対応し、現場ごとの個別対応が可能な人事システムが求められるようになったのである。そのため、使い勝手がよく、柔軟な対応が可能なオープン系システムを導入する企業が増えた。大企業向けのERPから中堅・中小企業向けまで、パッケージソフトが一般化したのもこの時期である。しかし、人事システムの中心はあくまでも「人事・給与システム」であり、利用者は人事部門で、「業務効率化、コスト削減」を大きな目的としていたという点では、80年代から大きく変わったとはいえない時期である。

【2000年代】人事の役割が大きく見直され戦略人事システムが登場

2000年代に入ると人事の役割に、さらに大きな変化が表れる。それまでは業務効率化、コスト削減こそが経営への最大の寄与と考えられていたが、人的リソースを最適化することによって、より積極的に経営戦略の実現に貢献することが人事の役割と考えられるようになってきたのだ。具体的にいえば、人事の業務品質(人材マネジメントなど)を向上させることによって、企業全体の業績を伸ばすという考え方である。特に2008年のリーマン・ショック以降は、日本でもこうした傾向がはっきりしてきた。

イメージそこで注目されたのが「タレントマネジメントシステム」「人材マネジメントシステム」などの戦略人事システムである。「業務効率化、コスト削減」を主目的とする人事・給与システムがいわば「守りのツール」だとするならば、「業務品質の向上」によって組織力の強化、企業戦略の実現をめざす戦略人事システムは明らかに「攻めのツール」だといえるだろう。海外では2000年代前半から導入されはじめ、日本でも2000年代後半から急速に注目度が高まっている。これらは、現在進行形の人事課題とされる雇用延長、非正規雇用、ダイバーシティ、グローバル化などに対応するシステムという側面もあわせ持っている。もちろん、人事・給与システムもこうした課題に対応できるように、機能を進化させていることはいうまでもない。

人事・給与システムと戦略人事システムが連携するもっとも現代的な人事システムの利用者は、人事部門だけでなく、現場の管理職、経営者、さらには従業員自身も含まれる。また、技術的にもクラウドやSaaSなどネットを活用した新たな形態のサービスも登場し、運用面でのコスト削減に寄与しはじめている。


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よくわかる「人事システム」講座

1. 人事システムとは

1. 人事システムとは

「人事システム」とは、人事のさまざまな業務をIT化することで企業経営に貢献するシステムである。業務の効率化やコスト削減だけにとどまらず、企業の組織力を高め、経営戦略実現をサポートするための強力なツールとしての人事システムについて見ていくことにする。


2. 人事システムの歴史

2. 人事システムの歴史

人事システムは、時代によって移り変わっていった人事の役割とともに、その機能やシステム構成を進化させてきた。その時々の経済情勢や社会のあり方、また、IT技術の進歩に大きな影響を受けている。1980年代以降の人事をとりまく状況と人事システムについて整理する。


3. 現代における人事システムの役割

3. 現代における人事システムの役割

現代における人事システムの役割を考えるうえで、「タレントマネジメントシステム」「人材マネジメントシステム」などの戦略人事システムは、避けて通れない。人事システムを構成するもう一方のシステムである人事・給与システムは、すでに長い歴史があり、その概要や機能も広く知られている。そのことを前提として、本章では2000年代以降、急速に存在感を増した戦略人事システム、中でもタレントマネジメントシステムの役割について、考えていく。


4. 人事システムの主な機能

4. 人事システムの主な機能

同じ人事システムではあるが、タレントマネジメントシステムには人事・給与システムとは異なる機能的な特性が求められる。人事・給与システムの場合、処理する業務も定型業務がほとんどであり、求められるのは確実性と効率性だ。しかし、タレントマネジメントシステムの場合は、利用者は人事以外にも現場の管理職、経営者など幅広く、またその利用目的も企業戦略の立案や実行など非定型の業務がほとんどだ。それぞれの基本的な構成について整理する。


5. 人事システムの種類

5. 人事システムの種類

人事システムは大きく「人事・給与システム」と「戦略人事システム」に分けられるが、それをさらに細かく「目的別に見た人事システムの種類」「技術的に見た人事システムの種類」に分類する。


6. 人事システム導入のメリット

6. 人事システム導入のメリット

ITを活用することで、給与計算のような定型業務を正確化・効率化し、コスト削減を行うのはもはや当然だ。今改めて人事システム導入のメリットを考えることは、その人事システムが企業戦略の中でどういうメリットを生むのかを検討することだといえる。効率化・コスト削減というIT化のメリットを大前提として、さらに、人事システムには企業力を向上させるためにどのような力があるのかをまとめる。


7. 人事システムの選び方

7. 人事システムの選び方

人事システム、特に人事・給与システムに関しては、多数のベンダーがパッケージソフトをリリースしており、ユーザー企業の規模や成長ステージにあわせて、それぞれ最適の機能を盛り込んで提供している。まずは企業の身の丈にあったパッケージを比較検討していけば、機能的にも予算的にもある程度は絞り込める。タレントマネジメントシステムなど戦略人事システムに関しては、パッケージでリリースされている製品の種類は、人事・給与システムほど多くない。そのため企業規模で選ぶというよりは、何がしたいのかという目的重視で選定を進めるのがよい。ここでは人事システムの選び方を解説する。


8. 人事システム導入にあたっての注意点

8. 人事システム導入にあたっての注意点

●人事システムの導入は中期的・長期的視点で計画的に取り組まなくてはならない。●タレントマネジメントシステム導入は「投資」という発想で計画すべきである。●カスタマイズやアドオン開発は将来のことも考えて行う。●「人事」と「システム」の両方がわかる人がいるのが理想。など、人事システムを導入する際に注意すべき点を述べる。


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