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5. 人材派遣が可能な業務と期間

派遣可能な業務

イメージ人材派遣は可能な業務や期間が法律で定められている。特に、受け入れ期間については細かい規制が設けられている。その背景には、恒常的に人員が必要な業務に携わる人材は、直接雇用すべきだという行政からのメッセージがあることを理解しておきたい。人材派遣は、変動する労働力ニーズにフレキシブルに対応するためのものであって、単に人件費削減が目的であってはならないという考えだ。

この原則を踏まえた上で、自社の業務がどういったもので派遣が可能な期間はどのくらいかなどを正しく把握し、計画的に派遣を活用していきたい。

派遣可能な業務

現在の派遣法は、派遣が禁止されている業務が「適用除外業務」として示され、それ以外の業務はすべて派遣可能であるというネガティブリスト方式をとっている。ただし、適用除外業務の他にも派遣が制限されている一部の業務がある。

1)適用除外業務(派遣禁止業務)

  • 港湾運送業務
  • 建設業務
  • 警備業務

2)その他の派遣に制限がある業務

  • 病院などにおける医療関係業務(ただし、紹介予定派遣、産休・育休の代替要員、介護施設、へき地医療や地域医療のために必要が認められる場合などには可能)
  • 人事労務関係の一部の業務(労働者の代表として労使交渉に当たる業務など)
  • 士業務(弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、土地家屋調査士、管理建築士など)

専門的業務と自由化業務、それぞれの派遣期間

派遣できる業務は、「専門的業務」と「自由化業務」に大別できる。派遣法の歴史から見ると、専門的業務とは、派遣可能業務がネガティブリスト化される以前に派遣可能とされていた業務を基本としている。自由化業務は、派遣可能業務がネガティブリスト化されたことによって派遣可能になった、いわば「専門的業務以外の業務全般」である。

1)専門的業務

専門的業務は28業務が定められているが、政令(労働者派遣法施行令)によって二つのカテゴリに分けられている。分けられている基準は「短期の派遣(日雇い派遣)」が可能かどうかの違いによる。

(A)政令4条が定める18業務

短期の派遣(30日以内の雇用契約による派遣:日雇い派遣)が可能。

  1. ソフトウェア開発
  2. 機械設計
  3. 事務用機器操作
  4. 通訳、翻訳、速記
  5. 秘書
  6. ファイリング
  7. 調査
  8. 財務処理
  9. 貿易(取引先文書作成)
  10. デモンストレーション
  11. 添乗
  12. 受付・案内
  13. 研究開発
  14. 事業の実施体制の企画、立案
  15. 書籍等の制作・編集
  16. 広告デザイン
  17. OAインストラクション
  18. セールスエンジニアの営業、金融商品の営業
(B)政令5条が定める10業務

短期の派遣(30日以内の雇用契約による派遣:日雇い派遣)は禁止。ただし、このルールは派遣元の派遣会社が守るべきものなので、31日以上の雇用契約を結んでいれば、1社の派遣先での勤務期間が30日以下であっても派遣は可能となる。たとえば派遣スタッフが常用派遣のスタッフであれば、派遣受け入れ期間が1週間であっても問題ない。

  1. 放送機器操作
  2. 放送番組等の制作
  3. 建築物清掃
  4. 建築設備運転
  5. 駐車場管理
  6. インテリアコーディネータ
  7. アナウンサー
  8. テレマーケティングの営業
  9. 放送番組等における大道具・小道具
  10. 水道施設などの設備運転
(C)専門的業務の派遣受け入れ期間の上限

専門的業務28業務に関しては、いずれも派遣受け入れ期間に上限はない。ただし、3年以上派遣を受け入れている業務に、新たに従業員を直接雇用する場合には、派遣先企業は今いる派遣スタッフに直接雇用の申し込みを行う必要がある。

2)自由化業務

自由化業務は、上記専門的業務(及び派遣禁止業務)以外のすべての業務ということになる。具体的には、営業、販売、一般事務、医療事務、介護、製造などが含まれる。

(A)派遣期間は最長3年

自由化業務の派遣期間は、最長で3年と定められている。また、派遣受け入れ期間に関連して以下のようなルールが設けられている。

・派遣受け入れ期間が1年以上になる場合には、派遣先の従業員の過半数の意見を聴取する必要がある。
・同じ派遣スタッフに3年以上業務を続けてもらいたい場合には、直接雇用の申し込みをしなくてはならない。
・たとえ途中で違う派遣スタッフに交替したとしても、同じ業務に派遣を3年以上続けて受け入れることはできない。ただし、3カ月のクールダウン期間をおけば、そこからまたさらに3年は派遣を受け入れることができる。

(B)短期の派遣は禁止

自由化業務の短期派遣(30日以内の雇用契約による派遣:日雇い派遣)は原則禁止。※ただし、このルールは派遣元が守るべきもの。

専門的業務と自由化業務の派遣期間をまとめると以下のようになる。

■専門的業務と自由化業務の派遣期間
業務の種類 受け入れ期間上限 短期派遣の可否
専門的業務 政令4条の18業務 制限なし 可能
政令5条の10業務 禁止
自由化業務 上限3年 禁止

3)例外的な派遣期間

自由化業務も含めて例外として認められる派遣受け入れ期間には以下のようなものがある。

■例外として認められる派遣受け入れ期間
業務の種類 受け入れ期間上限
3年以内の有期プロジェクトの業務 プロジェクト期限内なら上限なし(最長3年)
日数限定業務
※派遣先の労働者の半分以下、かつ10日以上の勤務の業務
制限なし
産休・育休の代替業務 制限なし(休業者が復帰するまで)
介護休業の代替業務 制限なし(休業者が復帰するまで)

2)短期派遣が認められる労働者

政令4条の18業務以外でも、以下に当てはまる労働者には30日以内の雇用契約にもとづく短期派遣(日雇い派遣)が認められている。

  • 派遣スタッフが60歳以上の場合
  • 雇用保険の適用を受けない学生
  • 副業として短期派遣に従事する場合(本業での年収が500万円以上)
  • 主たる生計者でないこと(世帯年収が500万円で、世帯収入に占める本人の収入割合が50%未満)

これらは、高齢者や副業としての勤務、主婦が家計の補助のために働く場合などを想定したルールである。


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