派遣先が派遣スタッフを迎え入れ、気持ちよく働いてもらうためには、受け入れ環境を整える必要がある。派遣先として、適切な派遣就業条件を確保するためには、以下のような事項を確認し、対応する必要がある。
・指揮命令者などに、派遣労働者の就業条件を周知・徹底しているか ・派遣スタッフを受け入れるに際し、「苦情処理窓口」などを説明したか ・当該派遣スタッフに係る「36協定」を確認したか ・定期的に就業場所を巡回し、就業状況が契約違反ではないことを確認しているか ・派遣元の求めに応じ、派遣スタッフに対して、派遣先同種業務従事者と同様に、業務に関連する「教育訓練」を行う配慮をしているか ・派遣元の求めに応じ、派遣先同種業務従事者の「賃金水準」の情報提供を行っているか ・派遣元の求めに応じ、派遣労働者の「業務遂行状況」などの情報を提供するよう努めているか ・派遣スタッフに対しても、自社従業員と同様の「給食(食堂)施設」「休憩室」「更衣室」などの利用を配慮しているか ・「苦情申し立て(セクハラ・パワハラ含む)」には適切に対応し、苦情申し出の年月日、内容、処理状況について、「派遣先管理台帳」へ、その都度記載しているか |
職場にいる人たちが「人材派遣」に対して、正しく理解しているかどうかが、派遣スタッフにとって働きやすい環境であるかどうかの決め手となることが少なくない。これは、指揮命令する立場にある責任者だけでなく、職場にいる人たち全てに言えることだ。以下に、その際に心掛けておきたい事項を整理しておく。
【職場にいる人たちが心掛けておくこと】
人材派遣に対する正しい理解 | ・自社の職場が、どういう目的で人材派遣を取り入れたのかを知る ・人材派遣の仕組み、法的な知識を知る ・基本的に派遣スタッフは、決められた業務のみを行うことを理解する ・人材派遣は期間限定で、派遣料には社会保険料や交通費が含まれていることを理解する |
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派遣スタッフに対する正しい対応 | ・派遣スタッフを「上から目線」「一段下」に見ない ・初日には、きちんと挨拶する ・「派遣さん」ではなく、「〇〇さん」と名前で呼ぶ ・仕事を頼む時は、「お願いできますか」と丁寧に言う(言葉使いに気を付ける) ・派遣スタッフは協力会社、パートナーであるという認識を持つ ・事前に社内のルール、決まり事を伝える |
派遣先として、派遣スタッフに対してやってはいけないことがある。意識していないでやっていたなら、それはより問題の根が深いと言える。このようなことが派遣元に伝わると、派遣会社としても大事なスタッフを送ることを躊躇するだろう。場合によっては、法的なトラブルに発展することも考えられる。そうならないためにも、リスク対応の一環として、下記に示したようなことが行われていないかどうか、「嫌われる派遣先」となっていないかどうかをチェックしておくことが大切である。
・「結婚しているかどうか」など、プライベートな質問をする ・愛社精神などを強要する ・アフター5の付き合いを強要する ・時間外労働(残業)を強要する ・賃金額を聞き出そうとする ・契約外の業務を当然のように頼む |
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