人材派遣事業は、厚生労働省の「許可」を受けていることが大前提なので、まずはそのことを確認する。事業所内には、労働者派遣の許可証の写しが掲示されており、広告やパンフレット、名刺には許可番号が記されているので、それらでチェックすることだ。また、掲示の義務はないが、多くの事業所では派遣元責任者講習や職業紹介責任者講習の受講証明書なども掲示されているので、これらの点についても確認しておいた方がいいだろう。
その上で、会社の規模と特徴を見ていくことである。大手の人材派遣会社の場合、拠点数や求人数、取り扱い職種が多く、担当区域、担当分野、ネットワークが広いため、広範囲のニーズや大型案件に応えることができる。ただ分業化、効率化が進んでいるため、一部には機械的に対応する弊害も見受けられる。それに対し、小規模事業所や新規参入したばかりの会社は安定的とは言えないが、地域密着、ニッチ探索、密度の高いフォローなどによって堅実できめ細かな運営を行い、専門分野を特定することで差別化が実現できているケースもある。その意味でも、単に規模だけでなく、各社の方針、特徴や専門分野などに着目し、さらにインターネットで評判をチェックするなど、総合的に判断することが大切だ。
ホームページで会社概要や実績、サービス内容を見ても、その会社の実力がいったいどの程度なのか、サービスレベルはどの程度なのか、正確に判断するのは難しい。そのような場合には、営業担当者に直接会って、その取り組み姿勢や対応で判断するのがいいだろう。人材派遣会社の営業担当者は、対外的にはその会社の代表であり、会社の実力のほどは、営業担当者によって分かることが少なくないからだ。具体的には、以下に示したような内容でチェックし、見極めることである。
【営業担当者のチェックポイント】
・人材派遣のシステム、諸条件、制度、義務、権利や自社の特徴について、明確に説明できているか
・依頼する側の案件やニーズについて、具体的に把握しているか
・派遣スタッフの登録の際、面接を省いたり、軽視していないか
・機械的な処理、形式的な対応に終始していないか
・社会人としての良識、マナーを心得ているか
・質問やクレームに、迅速、的確に対応しているか
・常に相手の立場に立ち、真摯な態度で接しているか
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