企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

5. eラーニングの活用事例

●内定者教育~内定者に実務のベースとなる知識を身に付けさせる

イメージ内定者管理の一環で、入社までに内定者に実務で必要となる知識を身に付けさせ、即戦力化を図りたいと考える企業は多い。そこで内定者への事前教育として、入社後に必要な基礎固めをeラーニングで行うケースが増えている。eラーニングがツールとして非常に有効と考えているからだ。

eラーニングなら、会社まで来てもらう必要がなく、情報提供やコミュニケーションがいつでも行える。実際には、内定者に入社後に必要となる知識を、「必修」「フリーチョイス(カフェテリア方式)」に分け、実施していくというケースが多い。「必修」に関しては、途中のプロセスでテストを行い、反復学習で知識の定着を図る。「フリーチョイス(カフェテリア方式)については、実費のかかるものは会社側が費用を負担するのが一般的である。

さらに、「Webミーティング」などを実施することにより、内定者同士がコミュニケーションを取る機会を設けることができるので、内定フォローのツールとしても非常に有効である。

必修(例) ビジネスマナー、ビジネス文書、会社の数字の基本、パソコンスキル(Word、Excel、Powerpoint)
フリーチョイス
(カフェテリア方式)(例)
TOEIC、、業界動向・業界知識、職種ごとの実務内容

●社内ビジネススクール~効果的な運用を実現する

社内ビジネススクールを実施している企業は多いが、このような場合もeラーニングを活用することで、効果的な運用が期待できる。

社内ビジネススクールを開校しても、参加者が多忙のため、出席率が悪くなりがちというケースは少なくない。そこで、多忙なメンバーが一堂に集まらなくても議論を行えるように、eラーニングのシステムの中に「Web会議室」を設け、「ケーススタディー」などについて話し合いを行う。その際、講師がファシリテートすることで、議論がより活発化していく。それをレポートにまとめ、次の「ケーススタディ」に臨んでいくというスタイルである。また、レポート提出が遅れているような場合は、事務局から催促を行う。

このようなWeb上での議論やレポートの内容を、今度はリアルの「集合研修」に活用していくことで、研修の内容がよりレベルアップされていくことになる。

●新人事制度~制度理解・定着をスムーズに行う

イメージこれまでeラーニングでは、業務に必要な知識・スキルを自己学習してもらう内容が多かったが、企業内教育ツールとして定着するに従い、その活用方法は多様化している。例えば、新人事制度を導入する際に、その理解と定着をスムーズに行うためにeラーニングを活用するケースも出てきている。

新しい人事制度の導入により、「人事制度マニュアル」などを作成して配布しても、現場ではなかなか読まれていないというケースは多い。その場合、人事部が「説明会」を行って、新人事制度の理解と定着を図らなければならないが、eラーニングは、それを補う方法として活用できる。例えば、新人事制度の核となるのが「目標管理」や「人事考課項目」などの場合、その基本知識を文字だけでなく映像などストーリー仕立てで見せることで、より実感できる内容にすることができる。また、社員の理解度をテストによって把握し、指導することで社員の理解はより進んでいく。

このようなeラーニングを事前に行うことで、集合研修による「説明会」も、皆が集まってやるべきことに特化することができる。

●コンピテンシーマネジメント~コンピテンシーを自己学習させる

成果主義、能力主義の導入により、職務ごとの仕事の重み付けを行い、成果・目標を達成するための能力要件(コンピテンシー)を明確化する企業が増えている。また、その際、何を学べばよいのかも明確にしている。一人ひとりがコンピテンシーを高めていくために、eラーニングのメニューの中から選択して学習していくと、「コンピテンシーマネジメント」の活用が注目されている。

eラーニングを使ったコンピテンシーマネジメントの仕組みは、できる人・目標となる人の専門技術や知見、基礎能力やスキル、価値観や行動特性などを基に、成果に直結する行動特性や発揮能力を専門コンピテンシーと共通コンピテンシーにまとめ、それをコンピテンシー辞書として整理し、公開し、各コンピテンシーを高めるためのアプローチや方法を記していく、というものである。

受講者はeラーニングによって自分のコンピテンシーがどのレベルにあるのかを把握する。その結果、目標となるコンピテンシーと今の自分の現有コンピテンシーとのギャップを明らかにすることができる。そして、ギャップを埋めるために適切なコースを選択し、それを基に、自己学習を進めていく。

ちなみに、近年の傾向を見ると、多くの企業で「対人スキル」「コミュニケーションスキル」が重要視されており、そこに該当するコンピテンシーを習得させるケースが多いようだ。

●近々の課題・テーマ~全社員に素早く、確実に浸透させる

企業倫理・コンプライアンスなど、自社の抱える重要な課題・テーマを全社員に素早く、確実に浸透させるために、eラーニングを活用するケースが増えている。企業倫理・コンプライアンスに対する社会的な危機感を受け、全社員の意識改革、行動改善に乗り出しているのだ。

最初に「トップからのメッセージ」「自社の倫理綱領」を置き、なぜその課題・テーマに取り組まなければならないのか、危機感を強く持ってもらうようにする。その上で、具体的に対応していくために、本人が「考える」ことを目的とした内容を盛り込んでいく。

例えば、「悪いことをしてはいけない」だけではなく、「やりたくなかったのに、やらざるを得なかった」と本人が葛藤し、悩んだ末に犯してしまったようなケースを盛り込むことが効果的だ。「個人の倫理」と「組織の倫理」の葛藤の中で、個人として進むべき方向を考えていくのである。そして、自分の立場として何をどうすべきかを考え、具体的な行動を考えてもらう。このようなケーススタディーを何度か経験していくことで意識改革を図り、自分自身の行動改善に乗り出していく。

●モバイルラーニング~モバイル端末を使って気軽に学習してもらう

イメージeラーニングの新しい形態として、「モバイルラーニンング」を行うケースが増えてきている。スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末の普及を受け、デスクの上にあるパソコンではなく、モバイル端末を使って社外でいつでもどこでも気軽に学習してもらうためだ。

営業職や販売職など、顧客先や販売先にいる時間の長い従業員にとって、デスク上のパソコンを使ってのeラーニングの利用は難しい側面がある。それよりも、モバイル端末を使って移動中の電車や店舗、外出先、休憩時間などで学習するほうが効率的である。

実際の導入事例を見ると、モバイルラーニングを行っている人は短時間ではあるものの、さまざまな場所で学習することができるので、累積としての学習時間はパソコンを使っている人と 遜色なく、同等の学習結果を得ているという報告もある。問題は画面がパソコンと比べて小さいことと、操作性の問題である。これらについては、画面構成をシンプルにし、ボタン類はタップが容易なように大き目としたり、パソコン専用の機能は削除、別機能としたりすることで解決できる。

いずれにしても、職種の問題だけではなく、オフィスワーカーにも働き方の多様化が進んでいくと考えられ、モバイルワークはモバイル端末の普及と共に、活用されるケースが一段と増えそうだ。

●ソーシャルラーニング~コミュニティを形成し、意見交換・情報共有を活発化させる

イメージブログやTwitter、Facebookなど、ソーシャルメディアが発達し、情報の受発信のインフラとしての存在感が急激に増している。そこで、eラーニングでも、ソーシャルメディアを活用するケースが増えている。

例えば、何度かの集合研修を実施していく中で、ソーシャルメディアを加えていくことにより、講師側と受講者側とのコミュニティーを形成することができる。意見交換・情報共有を活発化させる効果が生まれる。研修中はもちろんのこと、終了後も継続的な学習コミュニティーとして、新たな問題提起やQ&Aを行っていくことができる。そこでは、同じテーマに興味・関心のある仲間として刺激し合い、学び合う行動が起きる。一人ではなかなか発見できないことが、意見交換を通じて、発見の喜びも含めて仲間と共有できるようになる。

このようにソーシャメディアによるeラーニングは、仲間と自律的かつ協調的に学び合うといった、これまでにない学びのスタイルを実現させたと言えるだろう。 今後、ソーシャルラーニングという新たな学びのスタイルは、テーマや分野ごとにさまざまなコミュニティーを形成していくことにより、社内のナレッジマネジメントやコミュニケーションの促進に大きく貢献していくものと考えられる。


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よくわかる「eラーニング」講座

1. eラーニングとは

1. eラーニングとは

eラーニングとは、パソコンやコンピュータネットワークなどを利用して、企業における能力開発・知識習得を効率的、効果的に行うための新しい学習形態である。集合研修で行う場合と比べ、時間や場所を限定されずに学習機会を提供できる。このeラーニングの基本をまとめた。


2. eラーニングの種類

2. eラーニングの種類

自社システムかASPサービスかといったeラーニング環境や、端末の種類、活用方法など、eラーニングの種類を整理する。


3. eラーニングと集合研修の特徴

3. eラーニングと集合研修の特徴

ここでは集合研修および他の学習形態とeラーニングそれぞれの特徴を整理。集合研修の一部をeラーニングに置き換える、集合研修の前後の課題をeラーニングで補完するなど、より学習効果が得られる研修設計のためのヒントを提示する。


4. eラーニングの目的別活用法

4. eラーニングの目的別活用法

eラーニングを活用することで、幅広いビジネススキルや知識を習得することができる。集合研修と比較した場合、eラーニングはおもに「知識を習得する」という目的に適している。ここでは目的別に、習得できる知識を表にまとめた。


5. eラーニングの活用事例

5. eラーニングの活用事例

eラーニングの代表的な活用事例「内定者教育」「社内ビジネススクール」「新人事制度理解」「コンピテンシーマネジメン」「近々の課題・テーマ」「モバイルラーニング」「ソーシャルラーニング」についてみていく。


6. eラーニング研修の企画・導入のポイント

6. eラーニング研修の企画・導入のポイント

eラーニング研修の企画・導入のポイントを整理。「他の教育手法を含めて検討する」「受講者のニーズを把握する」「学習効果を上げるための仕組み」などについてまとめた。


テーマ別Index
研修・人材育成
社員研修を検討する際に押さえておきたい基本とノウハウ。研修の目的別に解説します。
社員研修・人材育成
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人事担当者のための採用ノウハウ。採用の目的別に、基本、準備、注意点まで網羅。
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企業に不可欠な人事システム、人事制度を解説。この分野のトレンドも把握できます。
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