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コンプライアンス対策における今後の課題

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(1)経営トップのリーダーシップ

●強い指導力を発揮して長期的展望の下、改革を進める

コンプライアンス対策における今後の課題

コンプライアンス経営が推進できるかどうかは、経営トップの姿勢次第だ。そして、どのような企業風土、組織体質になるのかも、経営トップの姿勢で大きく左右される。倫理的な価値観を組織に根付かせるために、経営トップの責任は重大である。

健在なコンプライアンス体制を構築できるかどうかは、経営トップがコンプライアンス問題の本質を理解し、何をやるべきかを把握し、それを徹底的に実践できるかどうかにかかっている。そのためにも、モラル違反を軽視することなく、無関心な従業員への意識改革をあきらめず、強い指導力を発揮して、あるべきコンプライアンス体制をイメージし、長期的展望の下、改革を進めていくことである。

また、経営トップは必要に応じてシステムの見直しを図り、不祥事を可能な限り防止できる体制を取っているかをチェックしてみることだ。いったんコンプライアンス体制を作っても、見直しながら運用していくことが大切で、決して放任主義に陥ってはならない。ずさんな前例踏襲ではいけない。徹底的に問題を分析して解決し、おざなりな感覚的処理を避けるようにする。それは経営トップにしかできない決断である。

(2)グローバル化への迅速な対応

●海外のグループ企業と認識を共有するための教育研修が重要に

最近では、グローバルなレベルでコンプライアンス体制を敷く企業が増えてきた。グローバルな行動規範を策定した場合、各国・地域で働く従業員にも浸透できるよう、現地の言葉に翻訳し、海外のグループ企業と認識を共有するための教育研修が重要になる。海外スタッフとの円滑なコミュニケーションを実現し、企業価値の向上を実現するためにも、丁寧で持続的な教育研修は欠かせない。

また、世界的には、1999年の世界経済フォーラムにおいて提唱された「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」という取り組みがある。2015年7月時点で、約160ヵ国で1万3000を超える企業・団体が署名し、人権・労働・環境・腐敗防止の4分野10原則を軸に活動している。署名した企業・団体はその10原則に賛同する企業トップ自らのコミットメントのもと、各分野における一連の価値観を容認・支持し、実行に移すことが求められている。まだ日本では未参加の企業・団体が多いが、グローバルなレベルでのコンプライアンス強化を図るためにも、今後はリーダーシップを発揮し、社会の良き一員として行動することが期待されている。

【国連グローバル・コンパクト(UNGC)の10原則】

人権 原則1:人権擁護の支持と尊重
原則2:人権侵害への非加担
労働 原則3:結社の自由と団体交渉権の承認
原則4:強制労働の排除
原則5:児童労働の実効的な廃止
原則6:雇用と職業の差別撤廃
環境 原則7:環境問題の予防的アプローチ
原則8:環境に対する責任のイニシアティブ
原則9:環境にやさしい技術の開発と普及
腐敗防止 原則10:強要や賄賂を含むあらゆる形態の腐敗防止の取り組み

(3)業績との関係の見直し

●健全な企業社会の実現に向け、利益至上主義からの脱却

利益のためなら手段を選ばずといった利益至上主義の会社経営は、さまざまな弊害を生み出し、重大な企業不祥事の原因となっていた。場合によっては、社内の派閥抗争などとも絡んで、ガバナンスの機能不全をもたらすこともあった。しかし、これからの成熟した社会において、そのような経営スタイルは通用しない。企業には社会的ルールに則った経営活動が求められ、積極的なコンプライアンスによって広く世の中の信用の維持と向上を図ることが、良い取引先・顧客との取引が増え、収益の源泉となる。また、従業員の士気も向上し、内部統制がより充実する。今後は、利益至上主義からコンプライアンス経営という世の中に、徐々に進んでいくことになる。

逆に言えば、そのような企業行動が取れないと、良い顧客との関係が結べない。従業員の士気は低下し、内部統制も乱れ、トラブルが多発していく。その結果、社内的な信用が下落し、企業イメージを損ね、収益が悪化していくことになりかねない。さらに不祥事が続いた場合には、市場からの撤退が余儀なくされることになる。そのような状況に陥らないためにも、実効性のあるコンプライアンスを推進していくことが大事である。そしてそのことが、企業のみならず、経営者や従業員の利益を守ることにつながる。企業倫理の確立・強化は、健全な企業社会の発展の原動力になることだろう。


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