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4. コミュニケーション研修のプログラム例

最近のコミュニケーション研修の中で、課題別(目的別)に行われる、いくつかのプログラムを紹介していく。

1)管理職の「面談力」を高める「実践コミュニケーション・スキル研修」

イメージ管理職の「面談力」を高めるため、実践的な内容を盛り込んでいるのが「コミュニケーション・スキル研修」である。

「目標面談」は、考課者(管理職)と被考課者(部下)とが目標について合意し、その達成度を振り返ることを目的としている。ところが、時によって考課者は、言いにくいことを伝えなくてはならない場面に遭遇する。例えば、部下が失敗したことを指摘しなければならないようなことは多々あるだろう。そうした時に、感情的にならずに言うべきことを的確に伝え、理解と納得を促し、さらには部下を動機づけ、励ますような面談を行うスキルが考課者には求められる。コミュニケーション・スキル研修は、このような目標面談での実効性を高めるために行う。

■ 実践コミュニケーション・スキル研修の内容(例)
  1. 管理職の抱える「部下とのコミュニケーション上の問題点」の確認
  2. 目標面談において、コミュニケーション力をアップすることの必要性について
  3. 自分と他者の「行動特性の違い」を理解する
    • 自己分析ツールの活用とワーク
  4. コミュニケーション環境を整えて、「報告・連絡・相談」を増やす
    • 「聴く」の理解と演習  
       ~アイスブレイクとペーシング  
       ~ビジュアル化と相づち(基本と応用)
    • 「褒める」「認める」の理解と実践  
       ~「褒める」「認める」の効用  
       ~「褒める」「認める」言葉の伝え方
  5. 相手の主体的思考と行動を促し、考える力を伸ばす(解説・演習)
    • 問い掛けの効用
    • 「なぜ」「どうして」を「何」に変える問い掛け
    • 「限定型」と「展開型」の問い掛けの使い分け
    • 「未来志向」と「肯定型」の問い掛けの活用
  6. まとめとコミットメント

2)「部下指導」に特化したコミュニケーション研修(プロの俳優を使ったロールプレイング)

イメージメーカーなどの技術系職種では、新入社員や若手社員の実務教育を専任とする「トレーナー職」を用いるケースが多い。しかし、「実務に長けていること」と「教え方のスキルを持っていること」とは別である。また、「コミュニケーション下手」な人が少なくないとも言われる。そこで、「部下指導」に特化したコミュニケーション研修を行うことにより、「新入社員や若手社員を担当するトレーナー職の指導スキルの向上」「部下指導の重要性の再認識」「コミュニケーション・スキルの習得」を実現させる。

その際、言葉だけではコミュニケーションをどう取ればいいのか伝わらないため、プロの俳優を使って、実際に指導する場面をロールプレイングで実践することで、研修効果を高める工夫をしているケースがある。というのも、参加者同士のロールプレイングは型通りで、リアリティーの乏しいものになりがちだからだ。しかし、プロの俳優を活用すれば、素人にはない演技力で見本を示すことができる。「上司の指示を理解できない新入社員への対応」「厳しい要求をするお客様への対応」など、実践の場で使うことが多いと思われるスキルを中心に場面・状況を設定し、実用性・実効性の高い研修を行うことができる。

3)「グループワーク」でコミュニケーション・スキルを学ぶ「社会人基礎力研修」

コミュニケーション・スキルを身に付けさせる研修として、最近多く見られるのが新入社員を対象に行う「社会人基礎力研修」だ。この中で、研修効果を高めるための方法として一貫して用いられているのが、「グループワーク」によるディスカッションである。 個々人が考えたこと・感じたことを振り返り、その内容を、グループ内でシェアする。このプロセスそのものが、コミュニケーション・スキルの体得と、自覚的な向上を促すことにつながる。 初日の冒頭にアセスメントを実施し、その日の午後に個人別の結果報告書をフィードバックし、その後のグループ内でのコミュニケーションを実施するための題材とする。

■ 社会人基礎力研修の内容(例)
1日目
  • オリエンテーション、アセスメントの受験
  • 自己プロフィールの作成とその正確な伝え方(アピールの方法)
  • アセスメント結果を使った自己理解
  • アセスメント結果とコミュニケーションの関係を理解
  • 社会人基礎力の分析と育成プログラムの作成
  • ワークの振り返りと、気づきのシェア
2日目
  • 1日目研修での気づきの振り返りと、今日の研修目標の設定
  • 仕事の構造(PDCA)とコミュニケーション方法
  • 「報告・連絡・相談」の意味とスキル・マナー
  • ワークの振り返りと、気づきのシェア
3日目
  • これまでの振り返りと、今日の研修目標の設定
  • 仕事のための「対話」の進め方
  • 研修のまとめとしての「1年後のなりたい自分像」を語る
  • 研修全体の振り返りと、成果の確認

4)「アサーション研修」で、自己主張・自己表現スキルを高める

イメージ近年、組織内のコミュニケーションのあり方が変化してきたことに伴い、「アサーション研修」を行う企業が増えている。「アサーション」とは、「相手を尊重しつつ、自分の感情や欲求を誠実に率直に対等に伝えることのできる態度やモノの考え方」のこと。1950年代のアメリカで心理学の一つとして誕生し、80年代にヨーロッパ、90年代には日本に入ってきた。個人レベルのコミュニケーション・スキル、とりわけ自己表現方法のスキルの一つとして広く知られている。アサーションによるコミュニケーション・スキルには、以下のようなものがある。

■ アサーションによるコミュニケーション・スキル
  • 自分の感情を適切に表現することができる
  • 対等な立場で人と接することができる
  • 率直にものを頼める
  • 適切に「ノー」が言える
  • 人を褒めることができる、褒め言葉を受け取ることができる
  • 怒りの感情を適切に抑えられる
  • 建設的な批判をすることができる
  • 批判に対処できる

「アサーション研修」では、チェックリストを用いながら、上記のような事項について、自分自身の自己表現力(アサーティブ度)を採点していく。 対人関係においては、たとえどんなに良い意見であっても、言い方がまずければ伝わるものも伝わらない。そのため、アサーションによるコミュニケーション・スキルは、「何を伝えるか」と同時に、それを「どう伝えるか」に焦点を当てている。

研修では、まずは管理職から実施し、全体へと広げていくのが一般的で、最も効果のある階層は中間管理職層と言われる。プログラムはアサーションという考え方の理解を図ることからスタートし、ロールプレイングによって参加者に疑似体験をしてもらいながら、アサーションによるコミュニケーションの方法を学んでもらう。具体的には、アサーティブでないコミュニケーションのパターンを理解し、振る舞いや行動、ボディランゲージ(非言語の態度)も合わせて、アサーティブなものにしていく。

5)コミュニケーションの重要性を気付かせる演劇的手法「インプロ研修」

「インプロ」とは、「インプロヴィゼーション(即興)」の略語で、演劇などの即興芸術の世界で行われているものだが、近年は人材育成におけるコミュニケーション手法として応用されている。実際のビジネスにも台本はなく、一人ひとりが相手とふさわしいコミュニケーションを取り、不測の事態にも対応しながら一つのストーリーを作っていかなければならない点が共通している。

インプロでは台本がないため、まず目の前の状況や相手の言うことを受け止めることを重視する。これは、ビジネスの現場でも非常に重要なスキルである。また、身体を使うことも大きな特徴だ。とにかく、反応しながら考えるという訓練を通して、相手を受け入れると同時に、自ら発信するというコミュニケーションの基礎を身に付けることができる。具体的なアクティビティーには、以下のようなものがある。

●イエスアンド

  • 目的:相手の意見を受け入れ、さらに自分なりのアイデアをプラスすることにより、一つのアイデアを前向きに発展できるようにする。
  • 方法:二人一組で、一人が提案する。それに対して、もう一人が「そうですね(イエス)、そして(アンド)…」と自分の提案を付け足して返し、二人でアイデアの積み上げを行う。

●ナイフとフォーク

  • 目的:Leader(指示者)とReader(聞き手)の違いと、その使い分けの必要性を知る。そして、両者が協力することによって、チームがまとまるということを理解する。また、非言語コミュニケーションの重要性を知る。
  • 方法:二人一組で、与えられたテーマに沿って行動する。例えば「ナイフとフォーク」と言われた場合は、どちらから先に何も言わずに身体でナイフを表現する。そして、もう一人は相手の表現を補完するもの(この場合はフォーク)を身体で表現する。これを繰り返すことにより、共同作業には自ら率先して行う人(Leader:指示者)と、他者の意図を読む人(Reader:聞き手)の両者の協力が必要だということを体感することになる。

この他にもさまざまなアクティビティーを使って、目的や時間に応じた組み合わせでプログラムを構成する。このように頭と身体を使った「インプロ研修」を体験することで、人の話を理解し、自分の軸をぶらすことなく意見を伝える、コミュニケーション・スキルを伸ばしていくことが期待できる。


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よくわかる「コミュニケーション研修」講座

1. コミュニケーション研修とは

1. コミュニケーション研修とは

組織を機能させ、活性化していくには、コミュニケーションの量と質を向上させていかなければならない。その際、それにふさわしい方法やスキルが必要となる。コミュニケーション研修とは、このような組織内でのビジネスや仕事上におけるコミュニケーション能力の向上を目的とした研修のことである。


2. コミュニケーションをめぐる近年の傾向

2. コミュニケーションをめぐる近年の傾向

企業におけるコミュニケーションの現状と課題について、アンケート結果をもとに考察する。およそ3社に2社が、組織内コミュニケーションに課題を抱えている。その背景にある対面コミュニケーションの機会の減少についても触れる。


3. 近年のコミュニケーション研修の特徴

3. 近年のコミュニケーション研修の特徴

コミュニケーション不全は、対面での対話が苦手と言われる近年の若手社員に限った問題ではない。職場の至るところでコミュニケーション不全が顕在化しており、それに対応するように、最近ではコミュニケーション研修の内容も、非常に多岐に渡っている。


4. コミュニケーション研修のプログラム例

4. コミュニケーション研修のプログラム例

最近のコミュニケーション研修の中で、課題別(目的別)に行われるプログラムを紹介していく。管理職の「面談力」を高める「実践コミュニケーション・スキル研修」、「部下指導」に特化したコミュニケーション研修、「グループワーク」でコミュニケーション・スキルを学ぶ「社会人基礎力研修」「アサーション研修」で、自己主張・自己表現スキルを高める、コミュニケーションの重要性を気付かせる演劇的手法「インプロ研修」などがある。


5. コミュニケーション研修の企画・導入のポイント

5. コミュニケーション研修の企画・導入のポイント

コミュニケーション研修を企画・導入する際、より効果を高めるためのポイントを整理。課題と目的を受講者と共有する。導入した研修を常に改善する。外部の専門家を活用する。ここにあげた注意点をもとに、研修内容をチェックするといいだろう。


テーマ別Index
研修・人材育成
社員研修を検討する際に押さえておきたい基本とノウハウ。研修の目的別に解説します。
社員研修・人材育成
新人研修・新入社員研修
マネジメント・管理職研修
モチベーション・組織活性化
グローバル人材育成
コーチング研修
コミュニケーション研修
営業・販売研修
eラーニング
採用
人事担当者のための採用ノウハウ。採用の目的別に、基本、準備、注意点まで網羅。
中途採用
人材紹介
アルバイト・パート採用
人材派遣
新卒採用
就職サイト
新卒紹介
新卒採用アウトソーシング
新卒採用コンサルティング
内定者フォロー
ソーシャルリクルーティング
適性検査
人事戦略・人事系IT
企業に不可欠な人事システム、人事制度を解説。この分野のトレンドも把握できます。
人事制度
人事システム
給与計算
給与計算代行
人事労務
テーマに特化した労務関係の取組みを解説。導入の際のヒントが見つかります。
ワーク・ライフ・バランス、働き方改革
福利厚生
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メンタルヘルス
その他
それぞれ分野ごとに、基本からサービスを検討する際のポイントを詳しく説明します。
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