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4. コーチング研修のプログラム例

コーチング研修の中で、課題別(目的別)に行われているいくつかのプログラムを紹介していく。

1)「目標管理面談」における活用(現場マネジャーのためのケース別面談ノウハウ)

イメージ「目標管理制度」に関連して、コーチング研修を導入する企業が増えている。特に、部下との面談でコーチングを活用したいという声が多いようだ。以下、「目標管理面談」で行うためのプログラム例を紹介する。

現実的に、面談のフローには部下の状況・個別性などを考慮して、さまざまなケースが考えられるが、一般的には下記に示したような流れになる。その際に大切なのは、マネジャーが部下に期待していること(ゴール・あり方)をしっかりと伝えつつ、部下の自発的な考え・行動を引き出していくことである。

■目標管理面談研修の例
1.オリエンテーション
  • 目標管理面談の持つ意味
  • 目標管理面談でコーチングを活用する意味(コーチングが機能する領域)
  • コーチングでの原則(双方向、個別対応、継続サポート)

『目標管理面談のフロー(2~4)』

2.目標設定面談

●目標と現在の能力・スキルとのギャップを測りながら、目標を設定する

(例)

  • 目標の達成水準があいまいな場合
  • 期待する目標が達成されていない場合
  • 示したガイドライン(組織目標からの指針)に対して、部下が難色を示している場合

●意欲を引き出す、ストーリーを作る

(例)

  • 目標に対するやる気の高まりが感じられない場合
  • 目標の達成水準が、期待する水準に及んでいない場合
  • 業務目標が、能力目標やキャリアの方向性などと、切り離れてしまっている場合

●リソースを引き出す、行動のイメージを作る

(例)

  • そもそも目標の達成水準が、実現困難と思われるほど高い場合

●裁量を与えながら、継続サポートの用意をする

(例)

  • 目標設定の後の行動が心配な場合
3.日常での支援

(例)

  • 部下の行動が思わしくない、停滞している場合
  • 目標と現実の乖離に、本人が気づいていない場合
4.成果確認の面談

(例)

  • 部下が目標を達成した場合
  • 部下の成果が思わしくなかった場合、目標を下回った場合
5.次期の目標設定面談へ
  • 前期の振り返り(→2~4を繰り返す)
6.研修の振り返り・発表
  • 研修での気づき・感想、職場でどのように活用していくか

どんなに効果的な問い掛けをしても、部下の側が聞く耳を持たなければ、自律的な行動につながる反応を期待できない。すべては、日頃の部下との関わりの中で、お互いの信頼関係をどれだけ築けているかにかかっている。逆に言えば、信頼関係が築けていれば、部下の心に届く対話を作り出すことができる。そのためにも、このような目標管理面談をうまく活用していくことが大切である。

2)「同行営業」で部下の学習を引き出す

イメージ営業部門のマネジャーは、部下の営業に同行して指導する機会はあるものの、その「あり方」について混乱していることが多いようだ。「マネジャーが実際に販売してみせること」「部下の仕事ぶりを観察すること」「部下の販売を支援すること」のいずれが目的なのかを、明確にしないで行っているケースが多く見られる。

本来、同行営業は、同行によって「成果」を出すことが目的ではない。「学習」が主目的であり、仮に同行先での商談で成果が得られなくても、その商談を通じて何らかの学習が得られれば、そこで得た学習は今後、多くの営業現場で活かすことができる。 そして、この同行営業にコーチングの技法を用いることにより、同行先での体験を一緒に振り返りながら、商談で何を学習したのかを、部下から引き出していくことができる。言うまでもなく、ここでは質問によって部下自身が自ら考え、解答を導き出し、実践し、自分で振り返っていくアプローチが必要になる。

以下に、「同行営業」で行うコーチング研修のプログラム例を紹介する。

1.オリエンテーション
  • 同行営業における、コーチングの狙いを確認する
  • 成果ではなく、学習に目標があることを確認する
  • 訪問先の重要度を確認する
2.訪問直前(セットアップ)
  • パフォーマンスゴールを確認する
  • 訪問先を確認する
  • 商談の組み立て、流れを確認する
  • 学習ゴールを確認する
  • 商談の流れをイメージしてもらう
3.商談
  • 商談中、基本的に上司は会話をしない(意識を集中して観察する)
4.成果確認の面談
  • 再度、パフォーマンスゴールを確認する
  • 商談の流れを確認する
  • 本人が考える改善点を確認する
  • 改善点をどのように生かすかを確認する
  • 次回訪問時の商談を検討する

研修は、上記に記したような流れで行うが、特に学習という観点では、「4.振り返り」が大切である。上司の質問による振り返りを続けていく中で、営業担当者としての現状の能力やスキルレベルに見合った課題を部下自身が発見することができるからだ。研修では、この点をしっかりと確認しなければならない。克服すべき課題を自分で見つけ、一つひとつ乗り越えていくことにより、成長していくプロセスを身に付けてもらうことは、同行営業のコーチングにおいて何より大切である。

3)ビジネス・スキル強化への応用~マネジャー層へのコミュニケーション・スキルの向上

イメージそもそもコーチングは、サポートするプロセスの中に、コミュニケーションの技法を含んでいる。コミュニケーション・スキルを活用し、相手に自発的な行動を促して、やってみようという意欲を起こさせる。管理職研修でコーチング研修を行う企業が増えているのも、このようなマネジャー層へのコミュニケーション・スキルの向上が期待できるからだ。

例えば、コミュニケーション・スキルの向上を目的としたコーチング研修のプログラムには、以下のようなものがある。

1.オリエンテーション(目的の明確化)

最初に、研修の目的を明確にする。コーチング研修を行う意味をまず伝え、その中でもコミュニケーションの重要性と、そのためのスキルを学んでもらうことを説明する。

2.現状の認識

●現在の過程の把握

目的・目標(望ましいコミュニケーションが取れている状態)に対して、現在はどのような状態にあるのかを知り、目的・目標と現状の差を把握し、目指す方向性を明らかにする。

●相手のタイプを知る

人はそれぞれ、思考や行動に特徴があると知ることで、相手にとって効果的なコミュニケーションの方法などが分かる。

3.焦点の絞り込み

コミュニケーションにおいて、何が問題なのかを特定化していく。そして、問題を解決するための焦点を明確にする。

4.コミュニケーション・スキルの理解

目的・目標を達成するためのアクションプランを具体化する。そこでは、お互いの十分な話し合いが重要であり、会話により、信頼関係を構築していく。そして、信頼関係を結ぶために必須であるコミュニケーション・スキルを学んでいく。
~聴くこと、フィードバック、効果的な質問、ペーシング、相手を認める、承認、提案、要望

5.コミュニケーション・スキルの実践

繰り返し、実際のコーチングを行っていく。

6.振り返り

コーチングセッションを通して、自分の中の課題、今後の自分のありたいコミュニケーション・スタイルを明確にし、そのための行動計画を作成する。

このような研修では、対話形式で進めていくことが重要である。そのためにも、「何を言ってもOK」「誰も間違っていない」といったルールを設けることが必要だ。そうすることで、普段、思っていることが気がねなく話せる場になる。

4)組織活性化~「グループコーチング」を活用

優秀な人材が集まっていても、各人がバラバラでは、組織として成果をあげることはできない。そういった状況を解決するには、グループコーチングが有効である。グループコーチングはコーチングの発展形であり、コーチングで用いる「1対1」のスキルを、「1対N」に応用する新しいコミュニケーション・スキル。メンバーの意識改革や、行動変容を促していくことを目的としている。

イメージグループコーチングの一般的な研修プログラムは、複数のメンバーがグループディスカッションやグループワークを通じて答えを出し、それに対してコーチが質問する、という形で進められる。その際、ポイントとなるのは、参加者全員の発想をいかに掘り出すか、そしてそれをいかに行動に結び付けるか、という点である。

グループコーチングで期待される効果は、同じテーマについて複数のメンバーがコーチングを受けながら一緒に考えることで、参加メンバーが共通した言語・認識を持つことができるという点である。こうした連帯感や参加意識を持つことによって、各メンバーは「チームのために何ができるか」を考えるようになる。

さらに、グループでのコーチングを通して、コーチとメンバー、およびメンバー間の双方向のコミュニケーションが自発的な気づきを生み、課題解決に向けて当事者意識が高まっていく。メンバー同士でアイデアや成功事例を共有することによって、お互いに触発し合い、行動を促進することができるのである。

「1対1」のコーチングでは、得られるものはやや限定的となる場合もあるが、複数の人が集まればリソースも増え、皆で聴き合い、話し合うことにより新たな発想やアイデアが生まれるという相乗効果が期待できる。また、同じ課題を抱えたメンバーをまとめてコーチングすることは、時間の節約に繋がる点も見逃せない。


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よくわかる「コーチング研修」講座

1. コーチング研修とは

1. コーチング研修とは

コーチング研修とは、部下がその気になり、意欲的に動くように促すためのスキルを習得するための研修だ。マネジャーが、部下と一緒に目標を設定し、達成へのステップを見守り、要所に応じて助言を与えていくコーチングスキルを身につけることで、人材が主体的に動く強い組織をつくりあげる。


2. コーチングをめぐる近年の傾向

2. コーチングをめぐる近年の傾向

コーチングが日本に紹介され、10年以上が経過した。今では職場の上司・部下との関係構築、コミュニケーションの改善、気づきや能力開発の手法・手段として、多くの企業で導入されている。企業風土にもたらしたメリット・デメリットを整理し、近年のコーチング研修の特徴を見ていく。


3. コーチング研修の種類と内容

3. コーチング研修の種類と内容

コーチング研修とは、部下がその気になり、意欲的に動くように促すためのスキルを習得するための研修だ。マネジャーが、部下と一緒に目標を設定し、達成へのステップを見守り、要所に応じて助言を与えていくコーチングスキルを身につけることで、人材が主体的に動く強い組織をつくりあげる。


4. コーチング研修のプログラム例

4. コーチング研修のプログラム例

コーチング研修の中で、「目標管理面談」「同行営業」「マネジャー層向け」「グループコーチング」など、課題別(目的別)に行われているいくつかのプログラムを紹介していく。


5. コーチング研修の企画・導入のポイント

5. コーチング研修の企画・導入のポイント

効果的なコーチング研修を実施するためには企画・導入でそれぞれ押さえておきたいポイントがある。ここでは5つに絞って解説する。


テーマ別Index
研修・人材育成
社員研修を検討する際に押さえておきたい基本とノウハウ。研修の目的別に解説します。
社員研修・人材育成
新人研修・新入社員研修
マネジメント・管理職研修
モチベーション・組織活性化
グローバル人材育成
コーチング研修
コミュニケーション研修
営業・販売研修
eラーニング
採用
人事担当者のための採用ノウハウ。採用の目的別に、基本、準備、注意点まで網羅。
中途採用
人材紹介
アルバイト・パート採用
人材派遣
新卒採用
就職サイト
新卒紹介
新卒採用アウトソーシング
新卒採用コンサルティング
内定者フォロー
ソーシャルリクルーティング
適性検査
人事戦略・人事系IT
企業に不可欠な人事システム、人事制度を解説。この分野のトレンドも把握できます。
人事制度
人事システム
給与計算
給与計算代行
人事労務
テーマに特化した労務関係の取組みを解説。導入の際のヒントが見つかります。
ワーク・ライフ・バランス、働き方改革
福利厚生
社宅・社宅代行
コンプライアンス・企業倫理
メンタルヘルス
その他
それぞれ分野ごとに、基本からサービスを検討する際のポイントを詳しく説明します。
貸会議室・研修施設

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

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