5. 社宅代行サービスの一般的な業務内容

社宅代行サービスの業務範囲
社宅代行サービスに委託できる業務には以下のようなものがある。なお、ここでは借り上げ社宅に対応する業務の例をあげている。
新規契約時 |
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更新契約 |
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解約時 |
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入居者入れ替え・ 退出補修業務 |
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入室時対応業務 |
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月次業務 |
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年次業務 |
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事業者による代行サービス内容の違い
ここまでにあげたサービスは、代行事業者のほとんどが対応しているものである。ただ、事業者によってサービス内容が一部異なる場合もある。
1)捺印代行と代理捺印

不動産の賃貸借契約は、企業が契約書に捺印してはじめて成立する。非常に重要な行為だが、入居までの期日が迫る中で契約書を会社へ送ってもらって捺印するのは、手間でもある。そこで、捺印を代行サービスに任せているケースは多いだが、そのやり方には2種類がある。
捺印代行
契約用の社印を代行サービス事業者に預け、必要に応じて捺印してもらう方式。法律的には代行サービス事業者が代理に捺印することは何ら問題はない。ただし、印鑑の悪用や紛失などがないように、十分信頼できる事業者であることを確認しておく必要がある。また、万一の場合に備えて、損害賠償などに関する取り決めを行っておくことも欠かせない。
代理捺印
代行サービス事業者が正式な企業の代理人となって捺印する方式。この場合、捺印する印鑑は代行サービス事業者の社印ということになる。原則的には、契約相手(家主)に企業からの委任状を見せた上で捺印するが、商法(504条)では、商行為の場合、委任状を作成したり見せたりしなくても構わないと規定されている。代理捺印の場合も、代理人が勝手な契約を結んだりしないよう、損害賠償などに関する取り決めを行っておくことは重要だ。
※印鑑や委任された権限を悪用して、企業が意図しない契約が結ばれた場合も、契約書の書式が整っていれば、企業は契約を履行しなくてはならなくなる可能性が高い。それだけに代行サービス事業者の信用は重要である。
捺印代行 | 代理捺印 | |
捺印方式 | 印鑑そのものを預ける | 代理人として捺印してもらう |
リスク | 印鑑の悪用、紛失、盗難 | 意図しない契約を結ばれる |
対策 | 信用できる事業者に限定 損害賠償の取り決め |
2)転貸システム

社宅代行サービスの基本は、企業と家主の契約といった実務を代行するサービスだが、最近では「転貸システム」という形で企業の便宜を図るサービスも現れている。
具体的には、社宅代行サービス事業者が家主との間に賃貸契約を結び、借りた物件をさらに企業に「転貸」するというものだ。企業が窓口を社宅代行サービス事業者に一本化できるといったメリットは通常と変わらないが、それ以外に会計上の預入資産となる敷金を経費化できるというメリットが生まれる。