内定辞退防止・早期戦力化だけが目的ではない 組織活性化や先輩社員の成長につながる「内定フォロー」とは

近年、若手社員の早期離職が問題になっています。退職理由として多いのが、会社や仕事、人間関係に関する不満。さらにこの理由を掘り下げていくと、退職した人たちは入社前からすでに不安を抱えていたケースが多いことが分かります。それでは、企業はどうすれば入社前の内定者から不安を払拭させ、前向きな気持ちとともにスタートラインに立たせてあげることができるのでしょうか――。この課題を解決する方法として「内定フォロー」を活用できるとおっしゃるのが、株式会社マイナビ 就職情報事業本部・研修企画統括部開発課 兼 運営課 課長の山田功生さんです。いま企業に求められる内定フォローのあり方について、山田さんに詳しいお話をうかがいました。
株式会社マイナビ 山田功生さん
山田 功生さん
株式会社マイナビ
就職情報事業本部 研修企画統括部 開発課 兼 運営課 課長
内定者教材 Up Comer Kit 編集長
(やまだ・いさお) 研修商材の開発責任者として、年間約1600名が受講する採用担当者向け「採用力強化シリーズ公開研修」や年間約1300名が受講する「マイナビ新入社員公開研修」などを企画運営している。また、採用と若手育成に関する分野にて全国で講演活動を行っている。

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INDEX
  1. 1ページ : 内定フォローを重視する企業が増加
  2. 2ページ : 内定者が抱える三つの不安
  3. 3ページ : 【事例】内定者を軸に、組織活性化を実現

内定フォローを重視する企業が増加

―― 最初に、2014年卒採用の状況についてお聞かせください。

毎年発表している「マイナビ大学生就職内定率調査」(最新:2014年5月29日~6月2日実施)によると、企業から内々定を受けた学生の割合は3月が11.1%(前年比2.3ポイント増)、4月が34.6%(前年比1.1ポイント増)でした。それが5月になると、一気に49.0%(前年比6.5ポイント増)まで上がり、この時期に内々定を受けた学生が多いことが分かります。

山田功生さんphoto

また、内々定保有者数は、5月の時点で平均1.6社でした。分布を見ると、1社が65.0%で、2社は20.7%、3社以上が14.3%となっており、内々定を複数の企業から得ている学生と、そうでない学生とに二分されていることがわかります。なお、5月の段階で「内々定先に満足したので終了する(終了している)」との回答は、61.9%に達しています。

―― 5月の段階で、既に内々定者数はかなりの数に達しているわけですね。すると今後は、4月1日の入社日まで数ヵ月間にわたる「内定フォロー」が重要になってきます。

このところ、内定フォローを重視する企業が増えています。実際、弊社にも「どのような内定フォローを実施すればいいのか」といった相談や問い合わせを多数いただいています。昨年度から採用広報が12月スタートに変更されたことが、その要因の一つでしょう。また、今年になってからはアベノミクスの影響で、「売り手市場になるのではないか」といった雰囲気もあるため、多くの企業が内定フォローを行わなくてはならないという危機感を持つようになったと感じています。

内定フォローの持つ本質的な意味とは何か

―― そのような状況下、内定フォローの持つ意味が改めて問われそうですね。

内定フォローには、大きく二つの目的があると考えられています。一つ目は「内定辞退の防止」で、二つ目が「早期戦力化」です。

具体的にどのような内定フォローを行っているかというと、「内定辞退の防止」のためには、「内定者懇談会」や「先輩社員との懇談会」などを開催するケースが多いですね。相互コミュニケーションを図り、内定者を4月1日の入社日へと導くことが目的です。「早期戦力化」のためには、「資格取得」や「英会話」「ビジネスマナー」など、実務に直結する知識・スキルを学んでもらっているケースが多い。現場に配属後、なるべく早く戦力として活躍してもらうためです。

内定辞退を防止したいと考えている企業は、ほぼ100%でしょう。それに対して、早期戦力化も目標としている企業は、3割ほどだと思います。しかし、内定フォローの目的は、本当にこの二つだけでいいのでしょうか。企業の業態や規模などによって、注力したいポイントはさまざまですが、「内定フォローを行うことの本質的な意義とは何なのか」について、真剣に考えなければならないと思っています。

そう考えていく中で、私は「内定者に不安があるのなら、それを消してあげて、自信に変えていくことが重要ではないか」という結論に行き着きました。考えてみれば、内定辞退防止や早期戦力化は結局、企業側の都合です。しかし、学生にとって本当に重要なのは決してそういうことではないと思っています。

実際、「2013年卒マイナビ学生就職モニター調査」の6月に発表した結果によると、「内定承諾後に、本当にこの会社でいいのかと不安になったことはありますか」という質問に対して、「ある」と回答した学生は39.4%という結果が出ています。「この会社に入社する」と決めたはずなのに、実に4割の学生が不安を抱いているのです。さらに、不安が「ある」とした学生にその後不安がなくなったかどうかを聞いても、66.5%は「なくなってない」と回答しています。

【図表:内定者は入社先を不安に思っている~
「2013年卒マイナビ学生就職モニター調査 6月の活動状況」より】
内定者は入社先を不安に思っている~「2013年卒マイナビ学生就職モニター調査 6月の活動状況」より

「自分が入社するのはこの会社でいいのか」という不安が解消されぬまま、4月1日に入社式を迎える学生は数多くいると思われます。企業は、この事実をもっと真剣に考えなければなりません。

想像してみてください。入社式のときに「仕事が楽しみ、頑張るぞ」とポジティブな新入社員と、「社会人になりたくない、仕事なんてしたくない」とネガティブな新入社員がいた場合、当然、前者のほうがその後の成長や定着率は期待できると考えられます。だからこそ、入社する時には不安を解消させなければなりません。不安を「自信」へ、さらには「社会人になることへの期待」へと変えていくにはどうすればいいのか考える必要があります。少なくとも、マインドの面で前向きで、高いモチベーションと共に入社してもらうことが、採用担当者にとっての重要な役割だと思います。

内定者向けページ&商品一覧
内定者は不安を持ったまま、入社式を迎えていませんか。
大事な事は、内定者の『決断』に対して、『自信』を持たせてあげること。
マイナビは内定フォローが組織活性化の一環と位置付けています。

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