若手社員を育てる風土を定着させるために何をすべきか?~トレーナー、管理者、メンター、人事部に求められる役割とは?

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経済を取り巻く環境が大きく変化している現在、企業に求められるニーズも多様化しています。さらに、成長分野を新興国などに求めていったことで、グローバル化への対応も待ったなしの状況になっています。そうしたさまざまなニーズに対応していくためには、人材の底上げが重要であり、新入社員をはじめとした若手社員に対する教育が見直されるようになってきました。しかし、実際には、入社初期に集合教育を実施した後は現場のOJTに任せきり、という企業が少なくありません。また、そのOJT自体も、うまく機能しているとは言えないのが実状です。それでは今、若手社員を育てていくために、何が必要なのでしょうか。近年、若手社員への育成に向けた支援事業を本格化してきている、株式会社マイナビの就職情報事業本部・研修企画部開発課 兼 運営課 課長の山田功生さんに、詳しいお話を伺いました。
【インタビュー先】
株式会社マイナビ
就職情報事業本部 研修企画統括部 開発課 兼 運営課 課長
内定者教材 Up Comer Kit 編集長
山田 功生さん

株式会社マイナビ 山田功生さん
山田 功生さんプロフィール
研修商材の開発責任者として、年間約1600名が受講する採用担当者向け「採用力強化シリーズ公開研修」や年間約1000名が受講する「マイナビ新入社員公開研修」などを企画運営している。また、採用と若手育成に関する分野にて全国で講演活動を行っている。

INDEX
  1. なぜ、若手社員の育成が重要なのか
  2. 企業におけるOJTの現状と課題
  3. OJTを機能させるために必要なポイント

なぜ、若手社員の育成が重要なのか

―― 貴社が人材採用支援だけではなく、若手社員の育成支援を始めたきっかけを教えてください。

1973年の創業以来、マイナビにおける就職支援事業は、40年近い実績を誇ります。最初は就職情報誌から始めましたが、その後、採用手法がWebへと移るなど、お客様のニーズが多様化していき、それに応えていくために、さまざまなサービスを展開してきました。

当社のHRリサーチセンターが調べた調査によると70%以上の企業は、6月までに新入社員の内定を出しますが、その後のフォローをどのように行えばいいのかという問題に悩む企業が増えています。そういった悩みに応えていく中で、今度は、新入社員を中心とした若手社員をどう育成していけばいいのかということも、中堅・中小企業をはじめとする、多くの企業からご相談をいただくようになっていきました。「採用から人材育成へ」と企業のニーズがトータルに広がってきたため、新たに若手人材の育成支援を始めることになったわけです。

―― 若手社員の育成について、どのような問題意識をお持ちですか。

近年、日本では少子高齢化が急激に進んでいます。国のGDPを維持、向上するには、労働人口が増えることが望ましいのですが、この点で言えば日本は2000年頃をピークに衰退していますし、今後も減少していくと考えられています。それならば、一人ひとりの生産性、つまり一人ひとりのスキル・能力を上げていく必要がある。その狙いに寄与するひとつが人材育成、ひいては若手育成だと思っています。

ところが、状況を見てみると、「新入社員が悪い」「学校が悪い」「親が悪い」など、他責に傾倒した世論が蔓延してしまっているように感じます。たしかにいろいろな原因があると思いますが、若手人材の育成というのは、誰がやるということではなくて、社会全体で行っていくことが必要だと思います。ですから、今、私たちが提案しているのは、「企業における若手人材の育成の風土作り」です。意図的に、計画的に、継続的に育てていくことで、新入社員の戦力最大化を目指しています。

―― しかし、日本企業では、大卒者が入社して3年間で3割が辞めると言われています。

例えば、新しい事業を興し起業する、今までのスキルを活かしたステップアップなど、前向きな転職であれば、挑戦していけばよいと思います。しかし、入社してから「こんなはずではなかった」と言って、企業を辞めていくのは、その人にも、企業にも良くない。さらに言えば、日本という国にとっても良くないと思います。

とても抽象的な表現になりますが、新入社員がこの企業に入社して良かった、この企業で仕事が楽しい、と感じてイキイキと働いている。また、企業側もこの人を採用して良かった、この人が成長し、活躍してくれて嬉しい、となってほしいなと思います。私たちは、そのためにどうすればいいのかを常に考え、提案しています。

―― 今の若者は「ゆとり世代」などと揶揄されることが多いのですが、どのように評価されていますか。

私は肯定的に見ています。彼らは真面目、おとなしい、受け身、さらにはストレス耐性が弱いなどと言われています。確かに、ストレス耐性についてはそう感じることもあります。教育のカリキュラムなど、それ以前の世代とは、置かれた環境が大きく異なりますから。ただ、真面目、おとなしい、受け身、云々については、多分に「いまどきの若者」論の延長線上で語られることが多いのではないでしょうか。本人たちの問題というより、社会がそうさせていると思っています。「ゆとり教育を受けた世代」ではなくて、「ゆとり世代と揶揄され続けている世代」なんです。そのように思われていることを彼ら自身もよく知っていて、入社当初は慎重になり、構えてしまっているだけだと思います。現に、「2012年マイナビ新入社員意識調査 ~3カ月後の状況~」調査によると、「会社で“目立つ”ということについてどう思いますか」と言う問いに対して、61%が「目立ちたい、またはどちらかと言えば目立ちたい」と答えています。

―― そのような若者と、どのようにコミュニケーションを取り、育てていけばいいのでしょうか。

そんなに難しいことではありません。いつの時代にも、「いまどきの若者」云々がよく言われますが、「ゆとり世代」のフィルターがかかってしまい、目の前にいる新入社員をよく見ていない人が多い気がします。まずは、こうした先入観を取り払う必要があります。一人ひとりをきちんと見ていけば、その人の良さが分かるはずです。むしろ、真面目で努力家で、ポテンシャルの高い若者が多い。人材として、開発の余地が大いにあると思います。だからこそ、企業が若手育成にどれだけ時間をかけられるかが重要になるのです。特に、私たちはOJTが重要だと考えています。

【図1:新入社員と先輩社員の状況】
【図1】新入社員と先輩社員の状況

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