昭和電工は、2020年に旧・日立化成(現・昭和電工マテリアルズ)を買収し、長期ビジョンに基づいた両社の統合準備を進めてきました。2023年1月には統合新会社「レゾナック」が発足予定。同社ではこの統合を「第二の創業」と位置づけ、新たなグローバル戦略を打ち出しています。人事面においては、異なる企業文化を持った2社の融合を進めるためにパーパスドリブンとタレントマネジメントを軸とした人材戦略を策定。人事システムとして「SAP SuccessFactors」を導入し、グローバル企業にふさわしい人事基盤の構築を推進中です。本プロジェクトの取組みから、ダイナミックな人事変革についての要諦を、株式会社レゾナック・ホールディングス 組織・人材開発部長に就任予定の萩森耕平さんと、SAPジャパン株式会社人事本部長石山恵里子さん、SAP SEのChief Future of Work Officer である、Dr. Christian Schmeichel(クリスチャン・シュマイシェル)にお聞きしました。

- 萩森耕平さん
- 株式会社レゾナック・ホールディングス 組織・人材開発部長
2021年昭和電工マテリアルズに入社。ライフサイエンス事業本部のHRBPとして、再生医療ビジネスの中核を担うMinaris Regenerative Medicine株式会社の人事戦略の立案・実行を担当。昭和電工と昭和電工マテリアルズの統合プロジェクトにも参画し、人事組織やHRBPという役割のデザイン等にも従事。

- 石山恵里子さん
- SAPジャパン株式会社
常務執行役員 人事本部長
日系IT企業にて20年以上の経験を積んだのち、2015 年に HR ビジネスパートナーとして SAP に入社。2021 年 3 月 1 日付にて SAP ジャパンの人事本部⻑に就任。信頼されるリーダーシップ、健全なワークプレイス、そしてダイバーシティ&インクリュージョンが、成功する組織に不可欠な要素であると確信し、SAP の人事戦略の実現に取り組む。

- Dr. Christian Schmeichel
- SAP SE SVP Chief Future of Work Officer
2005年にSAP SE入社。グローバルおよびローカルでさまざまな管理職を歴任。現在は11万人超のSAP従業員に対して、業界最高の人材を継続的に引きつけ、維持するための「Future of Work」を推進するChief Future of Work Officerとして継続的なトランスフォーメーションをリードしている。
相補的な二社の統合で生まれる新会社「レゾナック」
まず昭和電工・萩森さんにうかがいます。貴社は2030年に「日本発の世界トップクラスの機能性化学メーカー」となるべく、2022年1月に昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧・日立化成)の経営統合を打ち出されました。その背景にはどのような事業環境の変化等があったのでしょうか。

萩森:これまで昭和電工が得意としてきたのは化学領域でも「川上」「川中」といわれる分野です。比較的安定して収益を稼げる事業ですが、規模の経済が働きやすく、そのままでは大きく成長していくことは見込みにくいのが実態でした。その意味で昭和電工マテリアルズの持つ半導体やモビリティ関連など、より「川下」の最終製品に近い分野は成長性が高く、昭和電工の課題を解決するために大変魅力的なものだったといえます。
一方の昭和電工マテリアルズ(旧・日立化成)は、日立グループが社会インフラ、ITなどに集中していく過程で事業売却されることが決まりました。これまで大きな後ろ盾となり、ビジネスの方向性を決めてくれていたともいえる日立グループから離れることになったわけです。昭和電工と一緒になれば規模の拡大にもつながりますし、それぞれのビジネスの特性を補いあってシナジーを生み出すことも可能です。今回の統合は2社が求めあって実現したものといえます。
化学分野では規模が重要という話がありましたが、統合新会社「レゾナック」は業界の中ではどの程度の存在感になるのでしょうか。
萩森:統合前の2社はどちらも年商7000~8000億円ほど。統合により、約1兆4000億円のスケールになります。国内の総合化学では4~5番手くらいの位置づけでしょうか。ただ、規模だけで勝ち残っていけるレベルとはいえません。統合のシナジーは当然追及していきますが、過去やってきたことの延長では大きな成長は見込めないと私たちは考えています。
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