人材採用“ウラ”“オモテ”

転職のきっかけは人材開発

学費返済も想定内
留学先でキャリアアップに目覚めた人材

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近年はどの職場でも、生産性アップのための人材開発に力を入れようになった。社内研修に加えて、国内外の大学・大学院や研究機関などに派遣、留学させるケースもよく耳にする。しかし、留学先で最先端のビジネスや理論を学ぶうちに、それまでの職場での仕事のスケールやスピード感に物足りなさを感じるようになる人も少なくない。「思い立ったが吉日」「善は急げ」ということなのか、「研修期間が終わる前に転職先を決めてしまおう」と考えて転職相談に来る人もいる。

研修が終わるまでに転職先を決めたい

「半年間の国内留学で東京に来ているんです。ちょうど半分ほど過ぎたところなので、残りの研修期間中に、できれば転職先決めたいと思っています。ただ、自分で転職活動をする余裕がないのと、あまり時間もかけたくないので、プロの人材紹介会社さんにお願いしようと思ったんです」

転職相談の席でこう語ってくれたFさんは、地方自治体の公務員だった。もともと勉強熱心で、これまでにもさまざまな人材開発プログラムに応募してキャリアアップに努めてきたそうだ。数年前には、アメリカの大学院での集中セミナーに参加したこともあるという。

Fさんのように、研修や留学といった「人材開発」がきっかけで転職を考える人は少なくない。かつては企業から著名な経営大学院などに人材を派遣するのが、ちょっとしたブームになっていた時代があったが、そこでMBAなどの学位を取得した人材がどんどん転職してしまったという話もよく聞いた。実際に私も、そういった人材の転職をお手伝いした経験がある。

そんなわけで、送り出す側も「留学後、最低○年間は転職しない」という誓約書を書かせたり、「もし転職した場合、学費は全額返却する」といったルールを定めたりしているところが大多数だ。Fさんのケースはどうなのかを聞いてみると、もちろん学費は返納しなければいけないが、自分の一生にかかわることなので、このチャンスを無駄にしたくないと言う。地方公務員といえば安定した職業の代名詞だ。その地位を捨ててまで転職してビジネスの世界に飛び込みたいというのだから、相当な覚悟があるのだろう。

「公務員の仕事も大切だということはよくわかっています。でも、やはり公務員ではできないことがたくさんあります。留学先でいろいろな人と話し合って刺激を受けたのも大きいですね。同級生はみんな社会人なので、ビジネスの生の声が聞けるんです。それでますます、ビジネスの世界にチャレンジしたくなったんです」

転職のきっかけは人材開発 Photo

Fさんの場合、勤務する自治体は東京からかなり離れている。研修期間を終えて地元に戻ってしまうと、大都市で転職活動をするのは非常に難しくなる。それが、東京にいる今のうちに決めてしまいたい大きな理由ということだった。

「よくわかりました。では、具体的にどんな仕事をご希望か詳しくお話しいただけますか」

有望な人材をさらに育てたいと思って送り出しながら、結果的に転職されてしまう雇用主(Fさんの場合は自治体)にとってはたまらない話だろう。しかし、最終的には魅力的な職場を提供できていないことが、一番の問題ということになるのかもしれない。


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