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人事マネジメント「解体新書」第55回
いま、なぜ「エンゲージメント」なのか?(前編)
~「イコールパートナー」の関係を深める人材マネジメントのあり方~

近年、「エンゲージメント」という考え方が急速に広まっている。会社と社員を、共に支え合う「イコールパートナー」と考えるもので、会社は社員が働きやすい施策や職場環境を提供し、社員はそれに応えて会社との信頼関係を深めながら、貢献していく。その結果、社員が会社や仕事・同僚たちを誇りに思い、好意を抱くような関係性を目指すというものである。では、なぜ今、エンゲージメントが多くの日本企業で取り入れられているのか。エンゲージメントを高めていくにはどうすればいいのか。詳しく解説していく。

「エンゲージメント」が求められる背景と理由

◆ポスト「成果主義」「コミットメント経営」の流れの中で…

終身雇用も将来のポストの約束も怪しくなった現在、ほとんどの企業では昔のような主従関係・親子関係は結びたくても結べなくなっている。ある時期、「成果主義」や「コミットメント経営」といった形で、新たな組織と個人の関係を構築する動きが出てきたが、事を急いだこともあって、その多くは成功できなかったように思う。そのような状況下に出てきたのが「エンゲージメント」という考え方である。

エンゲージメントとは、会社と個人が対等なパートナーとしてお互いにほれ合い、相手のために尽くそうとする関係であり、ある意味、会社と個人の「婚約関係」と言うことができる。これが従来の日本的な「和」を良しとし、他者のために汗することを厭わない職場風土と合致したのである。会社と社員がほれ合いながらも、適切な緊張関係を築いていくことを下支えする存在として、エンゲージメントは注目されてきた。

◆「エンゲージメント」とは何か?

欧米企業と比較するまでもなく、これまで日本の会社と社員との関わりは「主従関係」に近かった。社員は会社の命令には何であろうと従順に従い、その代わりに会社は「終身雇用慣行」の下、社員の人生を丸ごと面倒みてきたのである。

ところが、エンゲージメントは会社と社員が「イコールパートナー」であることが前提となる。対等の存在としてお互いがほれ合っているからこそ、一緒にいるのである。相手のことが好きだからこそ、命令がなくても相手のために自発的に動くのである。終身雇用慣行の中での主従関係から生まれる「忠誠心」とは違った概念である。この部分を見誤ってはいけない。

エンゲージメントは、あくまでも自律した人間同士が互いに惹かれ合っている状態。婚約という「契約関係」に基づき、いつ相手から契約を解消されるか分からない緊張感を伴った社員と会社のあり方である。だからこそ、過度な「依存」は許されない。「ぶら下がり社員」や「指示待ち族」もあり得ない。まさに、成熟した大人の人間同士の関係である。

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【用語解説 人事辞典】
スパン・オブ・コントロール
ダイバーシティ・マネジメント
エビデンス・ベースド・マネジメント
チャンクダウン、チャンクアップ
予言の自己成就
まだらテレワーク
互聴
パーソナルブランディング
後知恵バイアス
正常性バイアス