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人事マネジメント「解体新書」第116回
「パワー・ハラスメント防止」を義務付ける関連法が成立、企業は「パワハラ防止法」にどう対応していけばいいのか?(後編)

職場での「パワー・ハラスメント(パワハラ)」の防止を義務付ける関連法が2019年5月29日、参院本会議で可決・成立した。大企業には2020年4月から、中小企業は2022年4月から適用される予定である。その概要と今後、企業に求められる取り組みについて、解説する。
※前編はこちら

1. 「パワハラ防止法」とは?

法制化の経緯~パワハラ対策も「働き方改革」の一環

パワハラ防止対策は、2011年度の職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議の下に設置されたワーキング・グループの報告において、職場における「パワハラの概念」「行為類型」がまとめられた(前編参照)。その後、働き方改革実行計画(2017年3月)において、職場のパワハラ防止を強化するために、政府は労使関係者を交えた場で対策の検討を行うことを差し迫った課題として提示。翌2018年3月に、「職場のパワー・ハラスメント防止対策についての検討会報告書」が公表された。

これらの動きを受け、パワハラ防止対策を法制化する方向での検討が、労働政策審議会雇用環境・均等分科会において行われた。そして、2018年12月に「女性の職業生活における活躍の推進及び職場のハラスメント防止対策等の在り方について」と題する報告書がまとめられた。

年が明けた2019年5月29日に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が成立、6月5日に公布された。本法律では、「女性活躍推進法」の改正とともに、ハラスメント対策の強化を内容とした「労働施策総合推進法」の改正に伴い、パワハラ防止対策の法制化(パワハラ防止法)がなされた。施行は2020年4月の予定(中小企業は2022年4月予定)だ。

今後、パワハラについてはこの法律を根拠として、さまざまな展開が行われることは間違いない。

「パワハラ防止法」が求める内容~悪質企業は社名公表、2019年中に指針を公表予定

ここで、「パワハラ防止法」のポイントを見てみよう。

まずパワハラを、「職務上の優位性を背景に、適正な範囲を超えて従業員に精神的、身体的苦痛を与える行為」と、日本で初めて定義した点に注目が集まった。そして、相談窓口の設置や相談者のプライバシー保護の徹底、パワハラへの対処方針を就業規則で定めることなどを企業に義務付けた点(措置義務)の意義が大きい。

さらに、パワハラが常態化し、行政指導を行っても改善が見られないなど悪質なケースでは、企業名を公表することを定めた。労働側が求めていた罰則付きの規定はないものの、企業がパワハラ防止への対応を強く迫った内容と言える。

なお、厚生労働省は、パワハラに当たる具体的な行為を明示する「指針」について、2019年度内に策定する予定としている。現在、パワハラに関しては六つの「行為類型」(身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害)が示されているが、こうした類型を基に、どのような指示や業務内容がパワハラに当たるかどうかを定めることなる。

ただし、課題も多い。例えば、「過大な要求」「過小な要求」といった項目は、行為の線引きが難しいように思われる。また、経営側からも業務上必要な指導との区別が難しいのではないかとの指摘があるなど、今後、指針を作る際の議論については、難航することが予想されている。

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【用語解説 人事辞典】
カスタマーハラスメント(カスハラ)
労働安全衛生法
スモハラ
過労死ライン
セカンドハラスメント
ジタハラ
ウェルビーイング
心理的安全性
クラッシャー上司
つながらない権利