企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

人事マネジメント「解体新書」 第十回
「2009年卒採用戦線」がスタート!~12月以降の戦い方

2009年卒採用がスタートした。現在、多くの企業では、「序盤戦」からこの先の「中盤戦」をどう戦っていけばいいのかを苦慮しているのではないだろうか。特に、担当者を悩ませているのは、昨年以上に採用難が叫ばれている中で、いかに効率的な採用活動を進めていくかといった具体的な施策であろう。今回はそうした観点から、この先に対応しておくべき事項を整理してみた。

解説:福田敦之(HRMプランナー/株式会社アール・ティー・エフ代表取締役)

いま、新卒採用ステージのどこに位置しているのか?

3年の秋口に、既に「仮内定」をもらっている学生がいる…

景気回復や団塊世代の退職に伴う人材不足、そして急激な少子化の進展を背景に、2009年に卒業予定の大学3年生を対象とした「2009年卒採用戦線」が早くもスタートした。これも企業側に、若年層の確保に対する焦りがあるからだ。というのも、1990年以降の不況の時期に10年以上も新規採用を抑制してきたため、多くの企業では年齢構成に歪みが出ている。その結果、企業活動にも大きな支障が出ており、「より優秀な学生が、確実に欲しい」という企業側の強い思いが、近年の採用活動の早期化に一段と拍車をかけている。

ただ、日本経団連ではこうした状況に対して毎年、新卒採用の「倫理憲章」を発表し、早い時期から採用活動を行わないように企業に自粛を求めている。それは以下に記したように、採用活動は大学4年の4月に開始し、内定を出すのは10月1日以降という内容である。面接など選考活動の自粛を求めたのは、採用活動が前倒しになると学生の本分である学業に悪影響が出かねないためだ。また、企業の間にも大学3年以降の専門課程の成績が分からないまま採用の可否の判断を迫られる点を危惧する声がある。

【2008年度大学・大学院新規学卒者等の採用選考に関する企業の倫理憲章】
2007年10月16日(日本経済団体連合会)
1.正常な学校教育と学習環境の確保
採用選考活動にあたっては、正常な学校教育と学習環境の確保に協力し、大学等の学事日程を尊重する。
2.採用選考活動早期開始の自粛
在学全期間を通して知性、能力と人格を磨き、社会に貢献できる人材を育成、輩出する高等教育の趣旨を踏まえ、学生が本分である学業に専念する十分な時間を確保するため、採用選考活動の早期開始は自粛する。まして卒業・修了学年に達しない学生に対して、面接など実質的な選考活動を行うことは厳に慎む。
3.公平・公正な採用の徹底
公平・公正で透明な採用の徹底に努め、男女雇用機会均等法に沿った採用選考活動を行うのはもちろんのこと、学生の自由な就職活動を妨げる行為(正式内定日前の誓約書要求など)は一切しない。また大学所在地による不利が生じぬよう留意する。
4.情報の公開
学生の就職機会の均等を期し、落ち着いて就職準備に臨めるよう、企業情報ならびに採用情報(説明会日程、採用予定数、選考スケジュール等)については、可能な限り速やかに、適切な方法により詳細に公開する。
5.採用内定日の遵守
正式な内定日は、10月1日以降とする。
6.その他
高校卒業者については教育上の配慮を最優先とし、安定的な採用の確保に努める。

しかし、実際の採用戦線では採用活動の「前倒し」が収まりそうにない。現実問題として、大学3年の秋に採用活動が始まっているのは周知の事実である。さらに今年は、一部の企業の動きが例年より1~2週間ほど早くなっており、既に3年の秋口に仮の内定(内々定)をもらった学生も少なくないと聞く。

「序盤戦」の動き~学生はもっぱら大手に眼が向いている段階

ここで、(図1)を見ていただきたい。もちろん、企業規模や業界によって時期がずれたりするが、これは新卒採用における「序盤戦~中盤戦」の流れを時系列で示したものである。各社が学生へのアプローチを早める中、現在の状況がどこにあるのか、何ができて何が準備できていないのか、今一度確認してみよう。

2007年10月に、「リクナビ」など求人サイトが本格的にスタートした。同時に、各企業の採用ホームページもオープンし、学生は企業へのプレエントリーやセミナーの申し込みを行うようになる。昨今の「大手志向」の強い学生は「知名度」の高い企業から検索を開始、就職情報会社が開催する合同会社セミナーが告知されると、希望する企業が出ているかどうかを確認し、申し込みを始める。

この時期は、大手企業を中心とした学内セミナー、合同会社セミナーへと学生が参加する一方、自社開催による工夫を凝らしたオープンセミナーが数多く実施される。学生にはセミナーの案内メール、メールDM(就職情報会社が保有する学生データに対して、電子メールで送るダイレクトメール)などが次々と送信されてくる。

このような企業側の動きに対応し、有名大学を中心とした学生は年内に希望する企業へのエントリーを行う。大手企業からの熱心な誘いを受け、学生の大手志向はますます強まっていくのだ。実際問題として、学生が大手企業以外に目を向けるのは、大手企業への望みが叶わなかった学生がはっきりしてくる3月から4月以降のこととなる。

いずれにせよ、売り手市場である昨今、この時期の採用活動は大手企業が中心となる。大手企業では、学生と年齢の近い若手社員を動員するなど、序盤から「総力戦」の様相を見せている。

一方で、多くの中堅・中小企業では学生からのエントリーが少ない状況が続いている。それは当然のことだ。前述したように、このレポートが書かれた12月というのは、新卒確保に走る大手がまさに「先手必勝」とばかり、採用母集団確保のため積極的に学生の「囲い込み」へと動いている時期なのだから。

「中盤戦」の動き~年明けからリクルーターの動きが本格化、2月には一部で内定出しも

年が明けた1~3月は、4月に面接に来てもらうために、学生との関係を強化していく時期となる。最近注目されているリクルーターが活躍するのもこの時期が中心だ。彼ら・彼女たちはさまざまな機会を設けて頻繁に学生と接触し、コミュニケーションを取り、自社の求める優秀な学生との関係を深めていく。短期のインターンシップが開催されるのも、同じような狙いがある。

さらに、選考に直結する会社説明会がどんどんと開始されていき、エントリーシートの提出はピークを迎える。そして、一部業界では4月を前に実質的な選考が行われ、2月頃から内定が出始める。倫理憲章を遵守する企業は4月から面接を開始するという建て前で進めていくわけで、2009年に卒業予定の大学生に対する選考そして内定出しのピークは、4月上旬から中旬頃になると見られる。

図1:2009年卒・新卒採用の流れ「序盤戦~中盤戦」

2007年10月~

・求人サイトの掲載開始

・自社採用ホームページのオープン

 →プレエントリーの受付開始

・オープンセミナー、合同会社説明会の開催

・セミナーの案内メール、メールDMの送付

*学生は「売り手市場だから、大手に入れるはず」と考えている

2008年1月

・短期インターンシップの開催

*学生は冬休み/後期試験

・リクルーターが本格的に活動

*学生の“現実的”な就職意識が急速に高まる

2月

・選考に直結する自社会社説明会の開始

 →エントリーシート提出のピーク

 →会社説明会、セミナーへの参加のピーク

・選考スタート(一部業界、企業での内定が出始める)

3月

*大手企業の選考通過は一部の学生のみ

*大手企業以外に目を向ける学生が増える

4月

・日本経団連の「倫理憲章」による面接解禁

・内定出しのピーク

だからこそ、学生がエントリーシートを提出する前までに考えておくべきことがある

いずれにしても、昨年以上の前倒しで「序盤戦」の動きが進んでいくと予想される中、学生がエントリーシートを提出する前に改めて考えておくべきことがある。それは、若年人口が少なくなっていく今後、頭数(採用目標数)を揃えるということよりも、たとえ力不足であっても若い人を育成し、定着させていくという長いスパンで新卒採用をとらえ直していくことの意味である。もともと新卒採用はポテンシャル(潜在能力)採用ということが言われていたが、その部分をもっと純化して考えてほしいと思っている。

正直、現時点では能力的に不足している部分があるかもしれない。だが、それは入社後に能力開発を行うことで十分に補っていくことができると考え、それよりも自社の企業理念や事業ビジョンに対して共感していて、仲間としていっしょにやっていける資質を持っている人材を採用していくということ。そういう点から改めて「採用基準」を見直し、かつその基準を測る「物差し」について、採用に関わるスタッフ全員が共有していくことが重要ではないだろうか。

別に採用目標を立てることがいけないと言っているのではない。採用難だからとエントリー数を増やすことにこだわるあまり、最近、こうした人材育成面での対応がどうもおざなりになっているように思うからだ。自社に対する価値観や理念が共有されており、かつ仕事を進める上で必要な資質を持っている人を組織の仕組みの中で育てていくほうが、結果的に人材が定着するし、組織としてもまとまり、生産性も向上していく。

そのためにも新卒採用で何を優先させ、何を問わないのかー。これを考え直してほしい。こういう時期だからこそ、人を採ることから育てていくことへと人材活用の視点が変わっていったことを再確認してほしいのだ。

採用バブル」は2009年卒も続く

2008年卒より採用予算を増やす企業が2割

既に、2008年卒の段階で新卒の求人総数は93.3万人とバブル期を超え、求人倍率も2.14倍と2倍を超えている(リクルートワークス研究所調べ)。その一方、出生人口は大幅にダウンしており、今後、優秀な人材の獲得競争はバブル期をはるかに超えるレベルになると予測されている。

こうした新卒採用マーケットでの人材獲得競争の激化に対応するため、企業は例年以上に採用活動に対する予算を増やそうとしている。ディスコが調査した「2007年採用マーケットの分析―総括・最終版―」によると、2009年卒に投じる採用予算が2008年卒より「増える」と回答した企業が19.9%となっており、「減る」8.8%を上回った。「同程度(2008年春採用並み)」は55.5%、「未定」は15.8%であった。

採用予算を増やす背景には、採用結果に対する不満があるからだ。2008年春に採用した学生について、「質・量ともに不満」と回答した企業は31.5%で、「質・量ともに満足」25.3%を上回っている。しかも、「不満」についてはここ数年増加傾向を示している。これも、近年の好業績を背景に大企業が採用枠を広げたことで人材争奪戦が激化、採用枠を満たせない企業が続出しているからである。そして、2009年春の新卒に向けた課題としても、「母集団の形成(応募者数を一定水準確保すること)」と「会社説明会への動員」がともに52.4%とトップに位置している。学生に自社の存在をアピールするために、この先も採用予算を増やす傾向が強まるのは間違いないだろう。

図2-1:主要企業の2009年春の新卒採用予算見込み(2008年春との比較)(%)

増える

19.9

2008年春採用並み

55.5

減る

8.8

未定

15.8

図2-2:7月までの採用結果の満足度(総合)の推移

図2-3:採用活動に向けての課題(複数回答)(資料出所)ディスコ「2007年採用マーケットの分析-総括・最終版-」(2007年7月)

(資料出所)ディスコ「2007年採用マーケットの分析 -総括・最終版-」(2007年7月)

「質・量ともに不満」をどう解決していくか

「質・量ともに不満」という声は、また別の調査でも現われている。文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の調査では、「エントリー者の人数、エントリー者の質ともに不満」と回答した企業が、2006年卒で26.0%だったのが、2007年卒が28.8%、そして2008年卒では37.8%と激増している。このように、エントリー段階でも企業の不満は極めて強くなっており、一部の企業に優秀な人材がさらわれている可能性が非常に高いと推測される。

それはそうだろう。誰が見ても優秀な人材というのは限られており、そうした人材に対する獲得競争には、バブル期をはるかに超える戦いがあるからだ。このような不満を解消するには、「どこまで妥協すべきか」という人事としての判断が必要となってくる。それは前述したように、何を優先させ、何を問わないのかを各企業が決断することに他ならない。

その際に考えてほしいのは採用バブルの時代において、単に知名度が高いとか有名企業であるかということでは、もはやアドバンテージを得ることはできないということ。それは、ごく限られた企業においてのことである。重要なのは、いかに自社の「らしさ」を新卒採用マーケットの中で示していけるかである。それは、「らしさ」に対する共感者を増やすコミュニケーション活動と言い換えることができる。そして、そのためのコミュニケーションを行う時には、「自社は何をアピールするか」ではなく、「相手がどう感じるか」「マーケットでどう映るか」という顧客オリエンテッドの視点がポイントとなってくる。後述するが、それには「人」を介したアプローチが有効である。そして、このアプローチなら知名度の低い企業でもやり方によって、十分に戦っていける。

2009年卒の今後の動きを予測

全ての局面で「早期化」傾向が顕著に。内定終了時期は二極化

2009年卒採用は早々にスタートしたが、昨年以上に「応募者が集まらない」「エントリーが少ない」という現場の嘆きの声をよく聞く。事実、10月の段階で求人サイトへの参画企業数や就職情報会社が主催する合同会社セミナーへの参加数は、前年度比で150%に達するという話を聞いた。学生に届くメールDMの数も、1日に100通近くに達するという。さらには、大手企業・人気企業が年内に行うセミナーの開催回数は、前年同時期の2倍近くにも達するという状況らしい。学生に人気の高い企業でさえ、さまざまな対策を講じている状態なのだから、その他の企業に学生が集まらないのも当然である。はっきり言って、この段階で一部の大手企業や人気企業に学生が流れるのは仕方のない話だろう。

そして、こうした大手企業を中心とした動きに引きずられ、2009年卒では採用に関わる全ての局面での「早期化」が進むと推測される。

エントリー・資料請求の時期、大学内での企業セミナーの参加などは10月中旬~下旬に第1のピークを迎えており、1次面接も11月から実質的に始まっている。そして、内々定が出たという学生も少なくないというのは前述したとおり。実質内定の前倒し傾向は、より顕著となってくることだろう。

ただし、このような早期化は、同時に2009年卒採用戦線のよりいっそうの長期化をも意味している。結局、「序盤戦~中盤戦」のような早期に決着できるのは限られた企業であって、多くの企業ではゴールデンウィーク明けの「第2ラウンド」そして「終盤戦」までもつれる可能性が高い。というのも、学生側に「内定辞退者」が増えてくると予想されるからである。学生についても同様で、早期に就職活動を終える学生がいる一方、長引く学生も少なくない。そのため最終的な内定終了時期については、二極化の傾向がより強くなると思われる。

このような「序盤戦~中盤戦」の採用活動の流れを見ると、年内は企業理解、事業理解を含めた採用広報が中心となり、年明けから会社説明会やリクルーターを動員したコミュニケーション活動がより重みを増してくると考えられる。だから現段階で「応募者が集まらない」「エントリーが少ない」といった企業も、年明けまでは“我慢の姿勢”が大切である。

ますます多様化が進む「採用手法」

昨今のような採用環境下では、企業の採用力、採用結果の格差がより拡大していく。その際にポイントとなるのは、採用手法をいかに多様なものにできるかである。繰り返しになるが、新卒採用で何を優先させ、何を問わないのかを決断することが重要になると言った。それは、採用ターゲットが「拡大」したことを意味する。採用コンサルタントの寺澤康介氏も指摘しているが、例えば、以下のような事項について、各社なりに検討してみることだ。

(1)採用対象
第二新卒、学歴不問、留学生、外国人
(2)採用方法
地域別、事業所別、コース別、期間限定、契約社員・IC、新卒派遣・紹介予定派遣
(3)採用時期
秋採用、通年採用、ギャップイヤー採用(採用時期を柔軟に設定)
(4)選考方法
採用直結型のインターンシップ、短期インターンシップ

このような施策にチャレンジしてみることで、“想定外”の人材を採用することができる可能性が出てくる。

この他にも、近年の若者気質や価値観を踏まえ、リクルーターなどを介した相互対話に重きを置いた「コミュニケーション重視」の施策が増えていくことは間違いない。その意味で、選考プロセスにおける相互コミュニケーションを重視したプログラムも多くなっていくことだろう。それは、内定フォローのプログラムへも引き継がれていくはずだ。

12月以降の戦い方

学生の置かれた状況の「半歩先」を考える

この後の12月以降の採用戦線をどう進めていくかについて考えてみたい。12月の段階では、学内セミナーや合同会社セミナーをはじめ、自社開催ではあるものの、採用とは直結しない「オープンセミナー」の類が数多く実施される。講演だけでなく、ワークショップや就職支援イベント、勉強会などを開催するようなケースも多く、何より自社や業界に対する興味・関心を持ってもらい、好感度を高める狙いのものが多くなっている。

そして、年が明けると大手企業はエントリーした学生に対し、それまでの母集団形成を意識したものから自社独自の会社説明会へと、「選考」を意識したものに内容を大きく変えていく。ある企業では、内定したばかりの大学4年生が中心となって会社説明会を企画したり、採用ツールなどを作成したりしているという。とにかく2009年卒では、会社説明会の数を相当数増やす企業の多いことが特徴である。これも激しい学生の奪い合いで、一定数の内定辞退者が出ると覚悟し、その補充を前提として考えているからに他ならない。

考えておくべきことは、この先に想定される状況やトラブル、そして何よりも学生の行動心理の「半歩先」を考えた対応がポイントとなってくるということ。そのためにも、学生とのコミュニケーションの「場」をWebだけではなく、リクルーターなどの「人」を介したメディアを用意することが重要となってくる。それが後々、いろいろな意味で担保となってくるからだ。

この時期、効果の期待できる採用手法

(1)「会社セミナー・会社説明会」で自社に目を向かせる
12月までは大手企業の会社セミナー・会社説明会が中心だが、年明けとともに中堅・中小企業の合同会社セミナーや会社説明会が多くなってくる。ただし、大手企業のセミナーに慣れた学生の関心を集めるには、中堅・中小企業はそのやり方に工夫を凝らす必要がある。たくさんの会社説明会に参加した学生は、とにかく目が肥えている。とはいえ、会社説明会の段階ではまだ、学生の志望動機は固まっていないのも事実。ここでは、会社セミナー・会社説明会の演出や仕掛けに工夫を凝らし、何よりも自社に目を向かせることが重要である。

(2)「採用ホームページ」で動員率を高める
採用ホームページは、採用の差別化の「顔」と言える。求人サイトは同一のフォーマットであり、その中で差別化しようとしても限界がある。事実、採用ホームページを作り変えたら、会社説明会への動員率が高まったというケースは非常に多い。では、どのような採用ホームページを作成すればいいのか。

一般的に、採用ホームページの滞在時間は1~2分と言われている。だから、まずは一目で印象に残るものにすることである。そして、事業の夢、将来性が書かれていること。それを具体的に伝える社員の声があること。これらが読まれる採用ホームページには欠かせない要素である。そして、定期的に更新してメールで知らせる、学生からの質問を受け付けてそれをホームページ上で回答する、メールマガジン形式で定期配信する、といった双方向型のコミュニケーションを継続して行うことが重要である。

(3)「メールDM」を採用コミュニケーションの中心に置く
母集団形成には数も必要だが、やはりその内容(質)が問われる。それにはメールDMが非常に有効なツールとして機能する。メールDMが優れているのは、こちらから投げかけるプッシュ型メディアであるという点だ。そして、ターゲットの母集団形成、エントリー促進、会社説明会への誘導など、目的や戦略に応じて柔軟に対応できる。また、タイトルや内容で差別化が可能だし、ターゲットやスケジュールを自由に選べる。何より、コストパフォーマンスが断然よい。求人サイトではターゲットではない学生も数多く含んでしまうが、メールDMでは全てターゲットとなるのだ。そして、即効性がある。出してから2~3日で反応が大体分かる。こうした点からも最近では、求人サイトよりメールDMを採用コミュニケーションの中心に置き換えていく企業が多くなっている。

なお、早期の段階では学生は大手企業に目を向けているので、学生の反応を見るという意味でも、1~2月上旬頃からエントリー誘導に活用するのが効果的だ。ターゲットとなる学生の反応を伺いながら、自社がアピールすべきポイント、修正すべき事項をチェックしていく。そして、メールDMの活用のメインはやはり2月以降の会社説明会だろう。最初はターゲットを広く構え、徐々にターゲットを絞り、きめ細かく配信していくことである。

2009年卒採用成功のポイント

社内に向けたコミュニケーション充実が、差別化戦略へとつながる

結局、採用とは自社「らしさ」を訴えていく中で、いかに他社と「差別化」を図るかということに尽きるのではないか。そのための「仕組み」を考えるのが、採用担当者の務めである。実際の採用活動では、メールDMや会社説明会、会社訪問、リクルーター活動など、ターゲットに対してさまざまなメディアやアプローチを実施する。その時、応募者の判断のポイントとなってくるのが、応募者と接する立場にある人(採用担当者、リクルーター、面接官、現場責任者など)とのコミュニケーションのあり方だ。

入社を促すためには、まずは応募者にファンになってもらうこと。それには、求人サイトやホームページに掲載された内容及びそこで感じた印象と、実際に採用活動で接した人が「同じ」である必要がある。何より、企業の「らしさ」が採用活動に携わる人たちから感じられなくては、せっかくの「個性」も有形無実のものになってしまう。

そこでポイントとなるのが先に述べたような社内に向けた「コミュニケーション体制の確立」である。採用活動において一貫性のある対応を実現するためにも、まずは社内の従業員が自社の「らしさ」を体現化できるようにならなくてはいけない。特にこの時期、会社説明会に関わる人、リクルーターの任に当たる人にはその点を重要視して欲しい。

それには、「らしさ」のベースとなる「企業理念」を従業員が深く共感し、理解している必要があるだろう。そして、「企業理念」から導き出された各人のミッション(使命)に対して、コミットメントしてもらうこと。一方で、会社はそのために必要な施策を講じ、かつ情報をオープンにしていくなど、より一層の従業員満足度(ES)を高めていくことが求められてくる。求人難の中で採用力を高めていくには、このような社内に向けたコミュニケーションの設計をどう図っていくか、この点がとても重要なのである。

この先の「中盤戦」以降を優位に戦っていくためにも、差別化するための採用コミュニケーションのあり方について、今一度、内部的な側面から戦略を練り直していくことを考えてみてはどうだろうか。


記事のオススメ、コメント投稿は会員登録が必要です

人事マネジメント解体新書のバックナンバー

人事マネジメント「解体新書」第118回
「法改正」が進む中で人事部に必要な「法対応」スキルとは(後編)
「公的資料」を使って「働き方改革関連法」を徹底理解する
近年、労働に関する「法改正」が進展する中、人事担当者の「法律」(労働関連法令)への正しい理解と適切な対応は、需要なスキルとなっている。「後編」では「働き方改革関...
2019/11/21掲載
人事マネジメント「解体新書」第117回
「法改正」が進む中で人事部に必要な「法対応」スキルとは(前編)
厚生労働省などの「公的資料」をいかに読み抜くか
近年、「働き方改革関連法」の施行や「パワハラ防止法」の成立に代表されるように、人事部の業務に関連する「法改正」の動きが一段と活発化している。そのため、人事の仕事...
2019/11/13掲載
人事マネジメント「解体新書」第116回
「パワー・ハラスメント防止」を義務付ける関連法が成立、
企業は「パワハラ防止法」にどう対応していけばいいのか?(後編)
職場での「パワー・ハラスメント(パワハラ)」の防止を義務付ける関連法が2019年5月29日、参院本会議で可決・成立した。大企業には2020年4月から、中小企業は...
2019/10/22掲載

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

POSITIVEが選ばれる理由

記事アクセスランキング

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


ウィズコロナ時代の働き方改革<br />
デジタルシフトで変わる!店舗が実施した非対面の人材開発、職場コミュニケーションとは
new

ウィズコロナ時代の働き方改革
デジタルシフトで変わる!店舗が実施した非対面の人材開発、職場コミュニケーションとは

新型コロナウイルスの感染拡大は、店舗事業者に甚大な影響をもたらした。さ...


~管理職・マネージャーに必要なコミュニケーション~

~管理職・マネージャーに必要なコミュニケーション~

近年、企業を取り巻くさまざまな環境変化により、組織内における上司と部下...