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人事マネジメント「解体新書」

これからの組織を支える「ミドルマネジャー」を育成する
期待される役割を見直し、ミドルマネジャーを活性化させる方法とは?(前編)

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経営を取り巻く環境が大きく変化している現在、中間管理職である「ミドルマネジャー」に期待される役割が増大している。ところが、これまでのキャリアの中で、「経験・成長の機会が減少」しているのは否めない。さらに、ミドルマネジャー自身の管理職であることの「インセンティブ」が低下していることも大きな問題である。では、組織の屋台骨を支えるミドルマネジャーを元気にし、やる気を持ってもらうにはどうすればいいのか? 今回は、これから期待される新たなミドルマネジャー像を提案した上で、その育成のための施策を紹介する。

いま、「ミドルマネジャー」に何が起きているのか?
◆ミドルマネジャーが担うべき「役割」と「仕事」が変化している

持続的な成長を目指すため、新規事業をはじめとした事業創造(再編)や海外への進出など、多くの企業が新たな成長戦略へとかじを切っている。そうした動きが活発化している中にあって、組織の屋台骨を支える中間管理職「ミドルマネジャー」に元気がないように感じる。実は今回の記事を書くに当たり、いくつかの企業へヒアリングに行ったのだが、ミドルマネジャーに対して「組織を任せられない」という声をたびたび聞いた。ミドルマネジャー本人からも「メンバーを指導できない」「チームのビジョンを示せない」という声が上がっていた。なぜ、ミドルマネジャーが「機能しない」「育っていない」と言われてしまうのか? なぜ、ミドルマネジャーは「閉塞感」を感じ、「元気」を失っているのか? これらの問題に迫る前に、まず、現在のミドルマネジャーが置かれている状況、背景について考えてみたい。

ミドルマネジャーには、いま何が期待されているのか? また、担うべき役割や仕事は、どのように変化しているのか? これらに関して言えば、「求められる役割・責任の増大」と「職場における複雑性の拡大」の二つの変化が起きているように思う。

まず、「求められる役割・責任の増大」だが、一般社員からマネジャーになると、部署の「業績責任」を負うようになるだけでなく、管理職としての「成果責任」も大きくなる。さらに、内部統制、個人情報保護、コンプライアンスなど、組織管理におけるフレームが増えたことによって、「管理責任」も拡大する。まさに“多重責務者”状態に陥っており、これでは管理職が大きな負担を感じるようになるのも当然である。

次に「職場における複雑性の拡大」だが、近年は業務が広がり、ミドルマネジャーに求められるスピードや専門性が著しく上がっている。さらに、判断する回数やそのための調整業務も拡大。周囲を見回すと、いつの間にか年長者や外国人、非正規社員など、雇用形態や勤務形態の違う部下も増えている。このように、これまで以上に的確に判断して解決しなければならない、多様化・複雑化した問題が職場に増えているのだ。

◆ミドルマネジャー自身に起きている「変化」とは?

ミドルマネジャー自身の変化を見ると、「キャリア形成における経験・成長機会の減少」と「管理職に対するインセンティブの低下」の二つの問題が起きているように感じる。

一つ目の「キャリア形成における経験・成長機会の減少」だが、現在のミドルマネジャーには、「修羅場経験」が不足している点が否めない。1990年代、バブル経済崩壊後に組織のフラット化が進み、業務の整理・縮小が行われ、小さな業務を一人で任される状況になった。ここでは、成果主義が強く求められたわけだが、少数精鋭の名の下、会社としては人を増やせない。結果的に、何年も同じ仕事を繰り返すことになり、成長する機会が減少。海外勤務や子会社で重責を担うような出向もなくなった。「失敗してもいいから、何か新しいことを自分で考えてチャレンジをする」「予想外のトラブルを乗り越え、成果を出す」といった“一皮むける経験”がないまま、何となく管理職になってしまっているのだ。「人を育成する」「人をマネジメントする」という機会が少ないまま、管理職になってしまった人も多いが、このような経験不足が自信のなさへとつながり、自分で判断できない管理職を作り出してしまったように思う。

次に「管理職に対するインセンティブの低下」だが、実際、管理職という仕事へのインセンティブが働かない会社は多い。評価項目の中に「人の育成」「部門のマネジメント」といった内容が入っていてもそのウェートは小さく、とにかく「成果」を出すことばかりが求められ、結果的にプレイング・マネジャー化してしまっている。管理職に対するインセンティブが働かない状況で人材育成や問題解決の研修を行っても、求められる仕事に熱意を持って取り組むようにはならないのは明白だろう。このような状況下で、ミドルマネジャーとしての行動を厳しく評価するといっても、ただ追い込んでしまうだけだ。

 


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