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人事マネジメント「解体新書」

「アクションラーニング」で戦略実行力を高める(前編)

~組織変革を実践的・効果的に進めていくための方法とは~

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2016/03/18

近年、組織変革を進めるための手法として、戦略実行力を高める「アクションラーニング」が注目を集めている。アクションラーニングとは、各部門から横断的にメンバーを選出してプロジェクトを編成し、実際の経営課題をテーマに、実効性のある改革プランを策定・実践していく一連のプロセスのこと。それでは、アクションラーニングによって組織変革を進め、実効性を高めていくにはどのような設計・運用を行えばいいのか。「前編」はこのポイントに絞って解説していく。

「アクションラーニング」の特徴と効果・効用
◆「アクションラーニング」で実現が期待されること

近年、人材教育の現場において、「アクションラーニング」という言葉自体はかなりなじみのあるものとなってきた。そもそもは、現実のビジネスの中で実際に生じている「課題」を解決するプロセスを通して、個人そして組織として学習し、組織能力の向上につなげていく一連のサイクルのことである。特徴は「座学」ではなく、「行動」や「実践」から学ぶ側面が非常に強い研修手法であること。ちなみに、NPO法人日本アクションラーニング協会では、アクションラーニングを次のように定義している。

アクションラーニングは、グループで現実の問題に対処し、その解決策を立案・実施していく過程で生じる、実際の行動とそのリフレクション(振り返り)を通じて、個人、そしてグループ・組織の学習する力を要請するチーム学習法です。

事実、最近の企業における活用例を見ても、「経営現場で起きている実際の課題を学習の俎上(そじょう)に載せ、新しいタイプの人材開発や組織開発を行う」「自部門の課題について、さまざまな視点から検討し、自らアクションへと展開して変革を起こし、個人・組織として学習する」「実際の組織における課題解決とそのための手法・スキル習得を同時に行い、自律的な変革型組織を創り出す」といったように、課題解決や戦略実行力を向上するために実施しているケースが多い。

またアクションラーニングは、経営の視点における「組織変革」と、個人の視点における「能力開発」を同時に実現する特徴を持っている。例えば、経営の視点に立って言うと、「実際の経営課題を扱う(経営に直接貢献する)」「ビジネスの成果に結び付く(業績向上につながる)」「自律的な変革型組織を生み出す」「新たな組織としての力を開発する」などの特徴がある。

一方、個人の視点に立つと、「経営課題を自分の課題として捉える(経営人材の育成)」「経営課題の解決に向けて自分が行うべきことにコミットする(自律的人材の育成)」「知識・スキルの習得と実践を融合しながら学ぶ」「実践の繰り返しにより、学習のプロセスを習慣化する」などである。このように、経営と個人の双方に働きかけることによって、実践における学習モードが形成され、その結果、個人の戦略実効性が高まり、組織変革を促していくことになる。

したがって、アクションラーニングはこれまで行われていた教室の中での研修やケーススタディなどと異なり、過去のケースとしての正解(知識・スキル)を学ぶ類のものではない。現実の場での課題解決という実践を通して、経営人材(リーダー)としての人間力(ソフトスキル)向上を促し、組織変革を進め、未来の課題解決に対する力(戦略実行力)を開発していく取り組みなのである。その結果、組織としての持続的な成長へとつながっていくことになる。

◆「アクションラーニング」が求められている背景とその歴史

経営を取り巻く環境が大きく変化している中、予測不可能な課題に対して的確な戦略を策定し、速やかに実行していく組織と個人が求められている。常に新しい環境に適応する戦略・施策を自らが考え出し、解決していかなければ、これからの競争に勝ち残っていくのは難しい。そのためには新たな課題に対処できるよう、個人も組織も学び続ける必要がある。なぜなら、自然に任せていると、学びの場はだんだんと枯渇し、欠乏していく傾向があるからだ。事実、エクセレントカンパニーと言われる企業の中には、「学習する組織」であり続けるために、あえて学びの場を“人工的”に構築しているところもある。そういう意味でも、行動と実践から学ぶアクションラーニングは、学びの場として最適の手法の一つと言えるだろう。

アクションラーニングは、最近になって開発された新しい手法ではない。その歴史は古く、1930年代に英国のケンブリッジ大学の物理学者レグ・レバンスがその原型(ひな形)を考案した。その後、多くの研究者や実践者がアクションラーニングの効果・効用を評価していった。1970年代には欧州を中心にミドルマネジャーの能力開発の手法、そして1980年代には米国でリーダーシップ開発の手法として注目されるようになり、進化してきた学習スタイルである。さらに、環境変化のスピードの速い近年では、アクションラーニングの特徴である行動と実践という学習スタイルがより時代のニーズにマッチし、広く世界に展開している。

 


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