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ミドル層採用時の情報収集・経歴詐称・ミスマッチ等への対応

KAI法律事務所 弁護士 奈良 恒則/佐藤 量大/端山 智/髙橋 顕太郎

平成29年1月の新規学卒者およびパートタイム労働者を除く有効求人倍率は1.33倍と好調で、売り手市場となっています。転職市場では、新たな事業展開や業務変革を求める企業で、豊富なキャリアや汎用的なビジネススキルを持つミドル層を即戦力として採用したいという機運から、40歳以上のミドル層の転職者割合も上昇しています(DODA転職者の年齢調査2016年下半期)。

しかし、売り手市場のなか採用を急ぐあまり、中途採用後に企業の期待していたような力を発揮しない労働者によるトラブルも増えています。また、即戦力としての採用を急ぐあまり、退職先とノウハウなどをめぐりトラブルになる場合も生じています。

そこで、本稿では、中途採用をめぐる採用時から退職までの実務上の留意点と対策をまとめてみました。

1. 中途採用における情報収集の法的留意点

中途採用における情報収集・調査の限界

結論として、企業には、労働者の採用にあたり、法律によって制限されない範囲で情報収集・調査を行う自由があり、その取得した情報を理由に採用を拒否することも自由であると考えられています(三菱樹脂事件・最大判昭48.12.12参照)。

この企業の調査の自由を制限する法律は多岐にわたるのですが、そのなかで最も基本的かつ一般的な指針を定めているのが職業安定法と同法に対する指針(行政解釈)です。

そこでは、「業務の目的の範囲内」での情報収集が原則であるとしたうえで、(イ)「人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項」、(ロ)「思想及び信条」、(ハ)「労働組合への加入状況」については、「特別な職業上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合」を除き、原則収集してはならないとされています(職業安定法5条の4、平成11年労働省告示第141号)。

逆に言えば、(1)収集する業務上の必要性があり、(2)業務の目的達成に必要不可欠であれば、(3)目的を示して本人から収集するという要件を満たす限り、企業はどんな情報も収集可能であると判断されているといえ、また、上記(イ)(ロ)(ハ)以外の情報であれば、求職者本人から聴取する以外の方法でも取得できる場合があると考えられていると言えます。

以下では、個別具体的な事案でどのように考えるかを検討します。

Q1.求職者の経歴、職歴、給与所得、前職の退職理由などの聴取についてはどのように行うべきですか。

経歴、職歴については履歴書や職務経歴書、給与所得は源泉徴収票、退職理由は退職証明書で取得するのが一般的です。以上の範囲を超えて詳しい職歴や退職理由などを聴きとりたい場合には、質問票を用いて記述形式で聴き取る方法がおすすめです。

その際、

  • 以下の質問は、採用・不採用の決定、採用後の配置職務の決定や労務管理をするうえで必要な情報であるためご回答ください。
  • 回答は任意ですので、お答えになりたくない質問にはお答えいただかなくて結構です。
  • 回答内容が事実に反すると判明した場合、内定取消し・懲戒解雇などの処分をすることがありますので、虚偽の回答をしないようにしてください。

などと、(1)情報収集の必要性、(2)回答は任意であること、(3)真実告知義務があることを明記しておくとよいでしょう(図表1参照)。もちろん上記文言があればどんな情報を聞いてもよいことになるわけではなく、虚偽回答から直ちに解雇ができるわけでもない点には注意が必要です。

図表1

採用面接質問票

この度は、当社の中途採用面接にご応募いただきましてありがとうございます。 面接に先立ち、以下の質問事項にご回答ください。回答は任意です。お答えになりたくない質問にはお答えいただかなくて結構です。

(中略)

Q.現病歴(採用後の職場配置、健康管理など労務管理のために必要な質問です)
□なし □あり(病名:__________________)

Q.既往歴(採用後の職場配置、健康管理など労務管理のために必要な質問です)
□伝染病(病名:__________________)
□てんかん
□肝臓病
□心臓病
□糖尿病
□アレルギー(病名:__________________)
□精神疾患・うつ病など(診断名:_____________)
□その他(病名:__________________)

Q.直近●年の賞罰(刑事罰を含む)
□なし  □あり(内容:__________________)

Q.暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人(いわゆる反社会的勢力)との関わりについて
□なし  □あり(関与の程度:__________________)

Q.同居の家族情報(採用後の職場配置、配置転換等に必要な質問です)
□配偶者 (職業:______________)
□子供  (年齢:_____歳)
□要介護家族(関与の程度:______________)

(中略)

【チェック欄】
□質問事項への回答が任意であることを理解したうえ回答しました。
□上記回答内容は、事実に相違ありません。

平成  年  月  日

住所_________________________
氏名________________㊞ 

Q2.履歴書に記載されている前職の会社に、退職理由、勤務態度、勤務成績などを照会してもよいでしょうか。

「雇用管理分野における個人情報保護に関するガイドライン」では、労働者の雇用管理情報について事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで第三者に提供してはならないとしています。そのため、照会先会社(前職の会社)は、求職者本人の同意がある場合以外は回答しないという対応になります。そこで、求職者本人に照会先会社に対して「○○の情報を開示してください」と書面等で問い合わせてもらう方法がもっとも回答の得られる可能性が高いものと考えます。

もっとも、勤務態度不良の事実があった社員や前職で揉め事を起こした社員の場合、退職時に口外禁止条項入りの合意書を会社と締結していることも多く、照会先会社もさらなるトラブルは避けたいので、実際には、必要な情報を取得するのは難しいでしょう。

Q3.犯罪歴の調査はどのように行えばよいでしょうか。

犯罪歴は、求職活動において不利に扱われる可能性が高いため、求職者が自発的に履歴書等に記載することは少ないでしょう。そこで、採用段階のいずれかの時点で質問票など書面の形で回答を求める方法で取得することになると思います。

ただし、改正個人情報保護法※1は、「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実」等について、「要配慮個人情報」と定義し(同法2条3項)、原則として、本人の同意を得ないで取得してはならないと定めています(同法17条2項)。個人情報保護法違反は、最悪の場合は刑事罰も科されますので(同法84条、42条2項・3項)、質問票等を使用して質問する際には、なぜ採用にあたり犯罪歴を調査する必要があるのかという聴取目的(必要性)を告げたうえで、本人の同意を得て取得する必要があります(回答が任意であることを明記すれば足りると考える)。

※1:改正個人情報保護法は、平成29年5月30日から全面施行されます。

Q4.求人者の家族に関する情報、すなわち、同居の家族の有無、配偶者の職業、育児の状況、要介護者の有無などを聞くことは問題がありますか。

これらの情報は、配転や育児・介護休業の判断に必要な情報ではあるものの、一般的に採用段階で聴取する「業務上の必要性」があるのか判断の難しいところです。元々転勤が頻繁になされることが想定されているなどの事情がある場合には、採用段階からある程度情報を取得することも可能ではないかと思います。

もっとも、家族に関する事項についての調査はハローワークへの相談件数の多いテーマでもあるため、取得する際には「なぜその情報が必要であるのか」を求職者に明確に説明しておくべきだと思います。

Q5.当社は医療系メーカーですが、新たに中途で営業職を採用しようと考えています。その際、前職での年収、借金の有無などの経済的情報を確認することはできますか。

中途採用の場合、前職の年収は、採用後の年収決定や、面接段階で本人の年収へのこだわり等の確認のために重要な情報であり、取得の「業務上の必要性」は認められるでしょう。実務上は、求職者から源泉徴収票を提出してもらい確認することが多いようです。採用後には年末調整に必要という事情もあるため、比較的任意で提出されるのではないでしょうか。

他方、負債の有無は、募集している業種や業務の内容によって情報収集の可否に変化が生じます。すなわち、金融業や証券業のように金銭を扱う業種や、金銭を扱う経理業務の採用の事案であれば、負債の有無などの経済的情報を取得する「業務上の必要性」が高いと思いますが、設問のケースのような場合には負債についての事情を採用時に取得する必要性は認められにくいと考えられます。

Q6.中途採用の場合、求職者の病歴などの情報はどうやって取得できますか。

photo

精神疾患などの「病歴」は、Q3でも紹介した改正個人情報保護法における「要配慮個人情報」(同法2条3項)にも該当するため、取得目的を告げたうえで、求職者の同意に基づく取得が原則となります。

一つの方法としては、質問票内に病歴も入れておき、本人の同意に基づき回答を得るということが考えられます。ただし、「任意回答」が前提となります。求職者は、精神疾患などの病歴は採用において不利に扱われると考えるでしょうから、十分に正確な回答がなされない可能性はあります。

Q7.病歴を確認するために、採用選考段階において、健康診断を実施することはできますか。

採用選考過程における健康診断の実施については、裁判例(B金融公庫事件・東京地判平15.6.20労働判例854号5頁など)も、行政解釈※2(「採用選考時の健康診断について」(労働省、事務連絡文書・平成5年5月10日))も、直ちに違法であるとまではしておらず、労働者の適格性判断のうえで業務上の必要性があれば、健康診断を行うこともできると考えているようです。

この点、雇入れ前3ヵ月以内に医師による健康診断が実施されていれば「雇入時の健康診断」に替えることができることから、採用選考段階で、労働安全衛生規則43条所定の「雇入時の健康診断」の診断項目を実施する企業も多いと思います。しかし、同法所定の診断項目のすべてについて、労働者の適格性判断のうえでの業務上の必要性が認められるかは怪しいところです。特に、身長、体重、腹囲などの情報の取得は、厳密には難しいのではないかと思います。

※2:行政解釈は「健康診断の必要性を慎重に検討することなく、採用選考時に健康診断を実施することは、…結果として、就職差別につながる」としていますが、結論として「健康診断が応募者の適性と能力を判断する上で真に必要かどうか慎重に検討していただきますようお願いします。」と表現しており、業務上の必要性に基づき行う場合まで否定するわけではありません。

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