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タナケン教授の「プロティアン・キャリア」ゼミ【第1回】
プロティアンに向かう、はじめの一歩

法政大学 教授

田中 研之輔さん

タナケン教授の「プロティアン・キャリア」ゼミ

令和という新時代。かつてないほどに変化が求められる時代に、私たちはどこに向かって、いかに歩んでいけばいいのでしょうか。これからの<私>のキャリア形成と、人事という仕事で関わる<同僚たち>へのキャリア開発支援。このゼミでは、プロティアン・キャリア論をベースに、人生100年時代の「生き方と働き方」をインタラクティブなダイアローグを通じて、戦略的にデザインしていきます。

タナケン教授があなたの悩みに答えます!

皆さま、はじめまして。法政大学でキャリア論を教えている、田中研之輔と申します。法政大学には2008年に着任し、一橋、慶應、早稲田を含めて、これまでに9大学で5000人以上の学生の教育に携わってきました。研究者の成果としては、『丼家の経営』『走らないトヨタ』『辞める研修、辞めない研修』など、計24冊(共著書・翻訳書を含む)の本を刊行してきました。その一方で、企業顧問も14社歴任し、新規事業立案、経営戦略、広報ブランディング、新卒・中途採用戦略などに関わってきました。

その中でも、私が今、重点的に取り組んでいるのは、次の二つです。

一つは、大学から社会への「移行=トランジション」を、<大学(就活生)・企業・社会>にとって、より良きもの(=三方良し)とするための「仕組み」づくりです。それらの実践の一部として、大学の現場に各業界で活躍する社会人ゲストを招へいし、よりリアルな学びの場を創出したり、通年採用後の新卒採用戦略についても「プール&ターム採用」モデルなどを提唱したりしています。

もう一つは、人生100年時代を迎えた我々に必要な「働き方や生き方」を理論的かつ具体的にデザインするために、「プロティアン・キャリア」という考え方を一人でも多くのビジネスパーソンに伝えていくことです。今回の新連載も、この「プロティアン・キャリア」がメインテーマです。
 
私の自己紹介はこの辺りまでにして、さっそく、本題に入っていきたいと思います。皆さんは「プロティアン」という言葉を聞いたことがありますか? 人事の仕事に携わっている方には、ぜひ、知っておいてほしい言葉です。

プロティアン・キャリアとは?

プロティアン(Protean)とは、ギリシア神話に出てくる、環境にあわせて変幻自在に姿を変えることのできるプロテウスの神を語源に持ちます。ボストン大学のダグラス・ホール教授が、この言葉を用いて理論化したのが、「プロティアン・キャリア」論です。私自身、この「プロティアン・キャリア」という考え方に出会って、働き方や生き方を見つめ直し、救われました。

理論の詳細についてはこれから、連載を重ねていく過程でその都度、伝えていきますが、次の三つのポイントを、皆さんと共有しておきますね。

おさえておきたい三つのポイント
  1. キャリアとは組織に預けるものでなく、自ら形成していくものである。
  2. これからのキャリアは、組織内における昇進や昇格ではなく、心理的達成や成功が重要視されることになる。
  3. キャリアとは、継続的な学習を続けることで、何度も何度も、ヴァージョンアップしていくものである。

変わることを恐れず、環境や社会のニーズに適応しながら、人生100年時代を生きていく具体的な処方箋として「プロティアン・キャリア」論は、次のように活かしていくことができます。

一つは、あなた自身のこれからのキャリア形成。もう一つは、人事として関わりをもつ同僚社員の方々のキャリア開発支援です。

「プロティアン・キャリア」ゼミの進め方

今回、この連載を通じて、皆さんと新しいことに挑戦したいと考えています。通常、このようなデジタル記事の連載は、書き手が伝えたいことをまとめて、定期的に公開され、それが繰り返されていきます。私自身もこれまで、さまざまなメディアで連載を持たせていただきました。

ただ、連載を重ねていくと、途中から「書き手として伝えたいことは、ちゃんと届いているのだろうか?」と感じるようになるのです。紙メディアからデジタルメディアにシフトしたのに、連載の形式は紙メディアのやり方を踏襲しているだけでは、もったいないですよね。

それに対して、じっくりと届けていけるのが、大学のゼミです。ゼミは、リアルな空間です。毎週、決まった時間に集まって議論を重ねるので、どの程度理解しているのかを確認しながら進めて行くことができます。

今回は、そのゼミ形式をこの連載の中に取り込んでいくことにします。具体的には、この連載を読者である皆さんと書き手である私とで、<インタラクティブなダイアローグ>を展開していきたい、ということです。

最初はうまくいかないかもしれませんが、皆さんもよくご存じのように、新しいことには失敗がつきものです。でも、やらないよりは始めてみた方がいいのです。

このゼミで皆さんと一緒に考えたい悩みや相談があれば、遠慮なく下記のフォームから投稿してください。届いた内容の中から、私の方でトピックを選定し、連載記事を書いていきますね。

なぜ、このような試みに挑戦していくのか。それには、実は明確な狙いがあります。それがこのゼミのメインテーマでもある「プロティアン」という考え方にも通じるからなのです。

私からは、プロティアン・キャリアの考え方をお伝えしていきます。皆さんからは、現場のリアルを届けてください。理論と実践をインタラクティブにダイアローグしていく。そこで生まれる化学反応こそ、変幻自在なエネルギーを生み出す源泉なのです。ご自身のこと、職場の同僚のこと、何でもOKです。内容に応じてプライバシーなどには、細心の注意を払います。

プロティアン・キャリア論の基礎理解については、2019年8月に『プロティアン−70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』(日経BP社)を出版したので、まずは本書から読み始めてみてください。

それでは「プロティアン・キャリア」ゼミ、始動します! 次回をお楽しみに。


田中 研之輔さん(法政大学 教授)
田中 研之輔
法政大学 教授

たなか・けんのすけ/博士:社会学。一橋大学大学院社会学研究科博士課程を経て、メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員をつとめる。2008年に帰国し、現在、法政大学キャリアデザイン学部教授。専門はキャリア論、組織論。<経営と社会>に関する組織エスノグラフィーに取り組んでいる。著書23冊。『辞める研修 辞めない研修–新人育成の組織エスノグラフィー』『先生は教えてくれない就活のトリセツ』『ルポ不法移民』『丼家の経営』『都市に刻む軌跡』『走らないトヨタ』、訳書に『ボディ&ソウル』『ストリートのコード』など。ソフトバンクアカデミア外部一期生。専門社会調査士。社外取締役・社外顧問を14社歴任。最新刊『プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本論』


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