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『日本の人事部』vol.262
2010/05/18 10:00
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『日本の人事部』 【vol.262】2010.05.18
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こんにちは。『日本の人事部』編集部の阿部です。
最近、「キャリア教育」に積極的な企業が増えているそうです。ある保険
会社では、全国の高校や大学で、「ライフプランニング」に関する授業を
実施。社員が生徒たちと、将来の夢や目標をどのように実現していけばい
いのかについて、考えていくというものです。CSR(企業の社会的責任)
の一環ということですが、普段接する機会が少ない学生たちと触れ合い、
コミュニケーションをとることで、新たなアイデアが生まれるかもしれま
せん。
普段は忙しさに追われ、仕事をすることの意味や、その楽しさを忘れかけ
ている社員も少なくないと思います。しかし、こうした「場」に参加する
ことは、自分自身の夢や目標について改めて考える、良い機会になるでし
ょう。社員の仕事に対するモチベーションも、自然と高まっていくのでは
ないでしょうか。
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社団法人日本経営協会調査が企業を対象に実施したアンケートをまとめた
「人材白書2009」でも、「今後重点的に教育・研修を計画している対象」
として「中堅社員」(60.9%)、「若手社員」(51.6%)が1・2位を占め
ている。企業の未来は、若手・中堅社員にかかっているといっても、決し
て過言ではないのだ。
本特集では、「若手・中堅社員」の育成・強化をテーマに、企業の事例や
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◆◆目次◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
【1】 困った時の匿名相談掲示板:アルバイトの時給計算について
────────────────────────────────
【2】 続々更新! 最新人材業界ニュース
────────────────────────────────
【3】 ~連載コラム~
課題解決のヒントはここに!「本音で語る人事屋Q&A」<第103回>
────────────────────────────────
【4】 人事担当者必見! 直近の「公開セミナー」情報
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【5】 編集部おすすめの「商品・サービス」はここ!
────────────────────────────────
【6】 今週の「専門家」はこの人!
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【1】困った時の匿名相談掲示板 (※詳細は会員専用コンテンツ)
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┌─┐
│Q│ アルバイトの時給計算について
└─┴───────────────────────────────┘
今までアルバイトに対して、休憩時間も時給計算して支給していましたが、
新年度より「ノーワークノーペイの法則」に基づいて休憩時間は時給計算
から除く方向で考えています。その際に注意することはありますでしょう
か?通達文で従業員に通知するだけでいいのか、一人ひとりに対して説明
すべきか、いい方法があれば、お教えください。
(東京都/商社(専門))
<編集部よりコメント>
厳しい経営環境のなかで企業が生き残っていくために、常に注意を払わな
ければならないのが「経営コスト」です。人件費もそのひとつですが、賃
金カットは従業員のモチベーションの低下につながるため、慎重な対応が
必要です。この質問に対して、4人の専門家から分かりやすい回答が寄せ
られています。
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【2】続々更新! 最新人材業界ニュース
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【3】~連載コラム~
課題解決のヒントはここに!「本音で語る人事屋Q&A」<第103回>
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人事や人材に関するテーマは、さまざまな視点で捉えることができます。
見方や立場の違いが、さらなる“気づき”を発見することも──。
38年間の人事実務キャリアと「管理職」の経験を持つ“ベテラン人事屋
さん”と、編集部・阿部が、それぞれの視点で人事の課題を語ります。
◆【 人事評価による「降格」の人事実務の留意点 】
--------------------------------------------------------------------
阿部:
4月~5月は、人事評価が行われる時期です。評価を基に社員の「昇進・
昇格」を決定する企業も多いのではないでしょうか。しかし、なかには
“降格”の対象となる社員も…。“降格”の実情について、人事実務の
視点からお話をうかがいたいと思います。
人事屋:
本題に入る前に、まず、今回用いる語句を定義しましょう。“昇格”は、
一般的に中堅・大手企業では12等級前後、中小企業では8等級前後に
区分された身分(資格)について、上位の等級に位置づけることを言い、
“降格”は、その逆となります。
また、“昇進”は、現行の役職(職位)を上位に位置づけることを指し
ますが、最近の企業では、“昇格(格付)”と“昇進(役割)”は切り
離して実施されているケースが多いようです。
今回は、定期的な人事評価により“降格”対象となる社員に対する人事
実務の留意点を中心に考えましょう。
阿部:
“降格”は、実際にどのような基準で実施されるのでしょうか。
人事屋:
一般的に、“降格”には「人事評価を行い、人事制度に則り実施する場
合」と「就業規則で、降格事由に相応する理由(懲戒など)が発生した
とき実施する場合」があります。
後者の場合、人事通達や社内掲示などの告示を行うので、“降格”にな
った社員も、職場の社員も実情を知ることができます。しかし、前者の
場合、通常はクローズされている「人事評価」という複雑な要素が含ま
れているため、当該社員に対する人事部や職場のフォローが必要です。
これまで、人事制度上では、人事評価に則った“降格”をルール化して
いる企業でも、実際に適用するケースは希でした。しかし、近年、全社
員の人事評価を、母集団にした正規分布化を行い、5段階評価であれば、
「Eランク」に当てはめられた社員を対象に、前年度(又は直近)の人
事評価内容と照合し、人事調整後、事務的に“降格”させる企業が多く
なってきました。
一方、単年度(当該年度)だけの人事評価で“降格”させる場合は、人
事部として、自社が置かれている環境や、具体的な個別の評価内容を慎
重に把握する必要があります。全社員を相対評価で捉えた上で“降格”
させる社員を決定・判断することが望まれます。
阿部:
いかなる“降格”の事由があったとしても、当該社員には「不利益変更」
となるため、労使トラブルに発展する可能性があるのでは……?
人事屋:
人事部は、“降格”を実施する際、基準となる人事制度や就業規則と、
その適用内容などを明確にし、社内に周知しておく必要があります。ま
た、自社の経営状態によって実施が必要な場合は、その年度での暫定的
な実施基準の設定や変更という施策も必要だと考えられます。
一般的に、“降格”は、役職の変更や給与の減額が伴います。人事担当
者は、社員のモチベーションが低下することや生活に大きな影響を与え
ることを認識し、当該社員だけでなく、職場や組織全体に及ぶ事象の対
応策について、事前に充分な時間をかけて準備しておくことが大切です。
その際、特に留意すべきなのは、人事部が全社員に対して公正なルール
を適応することと、適切な人事業務を遂行する姿勢があるかどうかとい
うことです。
人事担当者が迷いや疑問を感じながら“降格”の実務を実施すれば、社
員の会社に対する不信感は募り、労使トラブルに発展することになりま
す。決められたルールに則り実施する“降格”であれば、人事担当者自
身が納得するまでその仕組みを理解し、自信をもって公明正大に貫いて
いく強い姿勢を持つこと。それが、社員からの信頼を得ることにもつな
がります。
阿部:
定期的な人事評価も含め、「期待するパフォーマンスが出せない」「就
いている役職にみあう働きをしていない」といった社員の“降格”を考
える場合、人事部としてどのような点に留意すべきでしょうか。
人事屋:
これからの時代は、労働者の高齢化がさらに進みます。高度成長期のよ
うなピラミッド型の人事組織が構築しにくい企業環境になるため、健全
な人事組織の運営を考えての“降格”は、企業を継続させるために必要
不可欠な人事施策だと思います。
しかし、人事部は、単に制度の運用だけに視点を置かずに、長期的な人
事スパンと、社会全体の流れを捉えた姿勢で臨むことが大切です。
同期入社のA社員とB社員が、入社間もない時代に格付け変更で差がつ
いた場合、定年までの生涯収入(報酬)は、単に給与収入の差だけでな
く、退職金、厚生年金受給額、雇用保険給付額などを含めると、想像以
上に大きな差がつくという“人事制度の怖さ”に留意することも必要で
す。
人事部は、今後携わる人事評価、昇給(降給)、昇格(降格)などの業
務を実施する際、制度の適用規定や、昇給金額の割り振りだけを注視し
た“数字操作”に終始してはいけません。
人事部や職場は、“降格”した社員に対しては、人事制度のルール適用
による“降格”の認識のみに留め、人間性や人格まで評価したような誤
解を与えない配慮が必要です。そして、社員の今後の努力如何では、復
活のチャンスが与えられ、挑戦できるという道(制度)を用意しておく
ことが大切です。
人事担当者には、人事制度を運用していく上では厳しい実態があること
を、当事者の気持ちになって理解し、人の心の痛みを感じられるような
人間になってほしいと願っています。
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『日本の人事部』 【vol.262】2010.05.18
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◆◆目次◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
【1】 困った時の匿名相談掲示板:アルバイトの時給計算について
────────────────────────────────
【2】 続々更新! 最新人材業界ニュース
────────────────────────────────
【3】 ~連載コラム~
課題解決のヒントはここに!「本音で語る人事屋Q&A」<第103回>
────────────────────────────────
【4】 人事担当者必見! 直近の「公開セミナー」情報
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【5】 編集部おすすめの「商品・サービス」はここ!
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【6】 今週の「専門家」はこの人!
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【2】続々更新! 最新人材業界ニュース
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【3】~連載コラム~
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人事や人材に関するテーマは、さまざまな視点で捉えることができます。
見方や立場の違いが、さらなる“気づき”を発見することも──。
38年間の人事実務キャリアと「管理職」の経験を持つ“ベテラン人事屋
さん”と、編集部・阿部が、それぞれの視点で人事の課題を語ります。
◆【 人事評価による「降格」の人事実務の留意点 】
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阿部:
4月~5月は、人事評価が行われる時期です。評価を基に社員の「昇進・
昇格」を決定する企業も多いのではないでしょうか。しかし、なかには
“降格”の対象となる社員も…。“降格”の実情について、人事実務の
視点からお話をうかがいたいと思います。
人事屋:
本題に入る前に、まず、今回用いる語句を定義しましょう。“昇格”は、
一般的に中堅・大手企業では12等級前後、中小企業では8等級前後に
区分された身分(資格)について、上位の等級に位置づけることを言い、
“降格”は、その逆となります。
また、“昇進”は、現行の役職(職位)を上位に位置づけることを指し
ますが、最近の企業では、“昇格(格付)”と“昇進(役割)”は切り
離して実施されているケースが多いようです。
今回は、定期的な人事評価により“降格”対象となる社員に対する人事
実務の留意点を中心に考えましょう。
阿部:
“降格”は、実際にどのような基準で実施されるのでしょうか。
人事屋:
一般的に、“降格”には「人事評価を行い、人事制度に則り実施する場
合」と「就業規則で、降格事由に相応する理由(懲戒など)が発生した
とき実施する場合」があります。
後者の場合、人事通達や社内掲示などの告示を行うので、“降格”にな
った社員も、職場の社員も実情を知ることができます。しかし、前者の
場合、通常はクローズされている「人事評価」という複雑な要素が含ま
れているため、当該社員に対する人事部や職場のフォローが必要です。
これまで、人事制度上では、人事評価に則った“降格”をルール化して
いる企業でも、実際に適用するケースは希でした。しかし、近年、全社
員の人事評価を、母集団にした正規分布化を行い、5段階評価であれば、
「Eランク」に当てはめられた社員を対象に、前年度(又は直近)の人
事評価内容と照合し、人事調整後、事務的に“降格”させる企業が多く
なってきました。
一方、単年度(当該年度)だけの人事評価で“降格”させる場合は、人
事部として、自社が置かれている環境や、具体的な個別の評価内容を慎
重に把握する必要があります。全社員を相対評価で捉えた上で“降格”
させる社員を決定・判断することが望まれます。
阿部:
いかなる“降格”の事由があったとしても、当該社員には「不利益変更」
となるため、労使トラブルに発展する可能性があるのでは……?
人事屋:
人事部は、“降格”を実施する際、基準となる人事制度や就業規則と、
その適用内容などを明確にし、社内に周知しておく必要があります。ま
た、自社の経営状態によって実施が必要な場合は、その年度での暫定的
な実施基準の設定や変更という施策も必要だと考えられます。
一般的に、“降格”は、役職の変更や給与の減額が伴います。人事担当
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ることを認識し、当該社員だけでなく、職場や組織全体に及ぶ事象の対
応策について、事前に充分な時間をかけて準備しておくことが大切です。
その際、特に留意すべきなのは、人事部が全社員に対して公正なルール
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人事担当者が迷いや疑問を感じながら“降格”の実務を実施すれば、社
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不可欠な人事施策だと思います。
しかし、人事部は、単に制度の運用だけに視点を置かずに、長期的な人
事スパンと、社会全体の流れを捉えた姿勢で臨むことが大切です。
同期入社のA社員とB社員が、入社間もない時代に格付け変更で差がつ
いた場合、定年までの生涯収入(報酬)は、単に給与収入の差だけでな
く、退職金、厚生年金受給額、雇用保険給付額などを含めると、想像以
上に大きな差がつくという“人事制度の怖さ”に留意することも必要で
す。
人事部は、今後携わる人事評価、昇給(降給)、昇格(降格)などの業
務を実施する際、制度の適用規定や、昇給金額の割り振りだけを注視し
た“数字操作”に終始してはいけません。
人事部や職場は、“降格”した社員に対しては、人事制度のルール適用
による“降格”の認識のみに留め、人間性や人格まで評価したような誤
解を与えない配慮が必要です。そして、社員の今後の努力如何では、復
活のチャンスが与えられ、挑戦できるという道(制度)を用意しておく
ことが大切です。
人事担当者には、人事制度を運用していく上では厳しい実態があること
を、当事者の気持ちになって理解し、人の心の痛みを感じられるような
人間になってほしいと願っています。
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