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『日本の人事部』トップ > 調査分析 > 人事総務に聞く自己申告制度の課題:労政時報調査記事 Last Update : 2010/09/02 22:12

労政時報調査記事

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『労政時報』調査記事
社員の本音がわかって期待どおりの効果はある?
人事・総務担当者に聞く「自己申告制度」の課題

現在の職務に対する満足度、異動の希望、職場への意見・提案などについて従業員に申告させる「自己申告制度」。多くの企業が導入し、能力開発、適正配置、現場のモラール向上など、さまざまな面で活用していますが、その一方で問題を抱えるケースも少なくありません。「従業員が自分の評価に影響することを恐れたり、申告しても無駄だと考えたりして、本音を書かない」とか、「申告しても異動などの希望が叶うとは限らないため、かえってモラールダウンを招いている」など……。実際、企業における「自己申告制度」の効果はどれほどあるのでしょうか。制度の実施窓口となっている人事・総務担当者を対象に、労務行政研究所が行ったEメールアンケートから探ってみます(注参照)。

1990年以降に「自己申告制度」の導入が本格化した

「自己申告制度」を導入する狙いとしては、(1)担当職務への適性・満足度や異動希望を聞き、人事異動などの資料として活用する(2)各職場が抱える不満・問題点を把握し、職場環境整備・各種人事施策に反映させる(3)上司による指導・育成や、上司と部下のコミュニケーションに役立てる(4)改善案・提案を挙げてもらい、従業員の意見を経営施策や業務運営に役立てる――などが考えられます。まずは、今回の労務行政研究所のEメールアンケートに回答を寄せた人事・総務担当者の企業123社について、「自己申告制度」の導入状況を見てみましょう。表(1)をごらんください。

表(1) 「自己申告制度」を導入しているか?

表(1) 「自己申告制度」を導入しているか?

全体では「導入している」が74.0%と、ほぼ4社に3社が「自己申告制度」を有しています。これを規模別に見てみると、500人以上で82.6%、500人未満で63.0%が導入しており、規模が大きいほうが高い導入率となっています。

「自己申告制度」を導入している企業について、その導入年を見てみると(表(2)参照)、1990年代前半(90〜94年)が29.2%と3割弱を占めて、最も多くなっています。これに「95〜99年」が23.6%で続き、合わせて90年代が過半数(52.8%)を占めている。以下、「2000年以降」(20.8%)、「85〜89年」(19.4%)、「84年以前」(6.9%)となっており、90年以降に導入が本格化したと言うことができます。

表(2) 「自己申告制度」を導入したのはいつ?

表(2) 「自己申告制度」を導入したのはいつ?


大半の企業が「異動・配置希望」「現職務の評価」を尋ねている

「自己申告制度」を導入している企業は、それをどのくらいのサイクルで実施しているのでしょうか。表(3)をごらんください。

表(3) 「自己申告」の実施回数は?


表(3) 「自己申告」の実施回数は?


「自己申告」の実施回数は、4社に3社(75.0%)が「年1回」で最も多く、「年2回」が14.8%でこれに次いでいます。「その他」として6.8%が「年3回」「隔年」などとしているほか、「特に決めていない」(3.4%)も見られます。

実施時期を見ると、10月(16.3%)、3月(13.0%)、1月(10.9%)で10%を超えています。人事考課との連動や年初での実施を念頭に置いているものと思われます。

次に、表(4)をごらんください。


表(4) 「自己申告制度」でどんな内容を申告しているか?


表(4) 「自己申告制度」でどんな内容を申告しているか?

※注 「(8)本人の家庭状況」とは、「家族構成」や「知っておいてほしい個人事情」など。
「(11)目標管理における設定目標」は、目標管理を実施している場合のみ。
「(13)その他」の内容は、「職場の人間関係、性格の自己分析等」「過去の主な職歴、所有資格」「退職予定」など。


「自己申告制度」の実施目的や期待する効果を踏まえて、各社が工夫を凝らしているのが、申告書においてどのような項目を申告させるか、です。この申告内容を尋ねたところ(複数回答)、「(1)異動・配置希望」が93.3%と最も高く、これに「(2)現職務とこれに対する評価」が80.9%で続いています。

異動・配置は、本人の意向を踏まえて行うと円滑に進み、その確認には自己申告のかたちが適していること、現職務に関する意識は、職場における本人の状況把握の基本となることなどから、大半の企業が申告項目として取り上げているものと思われます。

最近では、社員のプライバシー情報に関する取扱いが問題になっていますが、「(8)本人の家庭状況」(53.9%)や「(10)本人の健康状況」(47.2%)など、会社業務とは直接関係しない、個人的な項目は比較的低い割合となっています。


「効果を上げている」43%、「効果は上がっていない」37%

では、「自己申告制度」は各社で効果を上げているのでしょうか。表(5)をごらんください。

表(5) 「自己申告制度」の効果は?

表(5) 「自己申告制度」の効果は?

※注 「導入したことで、むしろ弊害が生じるようになった」とする回答はなし。 「その他」の内容は、「異動・配置の参考としては有効」「形骸化している」「導入の目的が不明確であったため、判断できない」など。

自社で実施している「自己申告制度」について、4割超(42.7%)が「導入意図どおりの効果を上げている」と評価する一方、「期待したほどの効果は上がっていない」との認識も37.1%に上っています。 これを規模別に見てみると、500人以上では「効果は上がっていない」(42.1%)が「効果を上げている」(38.6%)を上回り、厳しい見方をしています。しかし、500人未満では、「効果を上げている」が50.0%と半数を占め、「効果は上がっていない」(28.1%)を大きく上回っています。 また、約2割を占める「その他」の内容としては、「不満などのはけ口としても機能」や「どちらとも評価できない」といった意見が見られます。

さらに、「自己申告制度」を今後どうするかを尋ねたところ、94.3%が「引き続き実施していく(現状維持・制度改定を含む)」としています。「廃止・休止する予定」とする回答は見られません。「未定(「さらに経過を見てから判断」などを含む)」は5.7%で、大多数が「評価の善し悪しにかかわらず、制度自体は続けていく」意向を示しています。

注)
ここでは、労務行政研究所が2005年1月26日から2月16日まで「自己申告制度に対する人事担当者の本音アンケート」と題して行った、Eメールによる独自調査の結果を基に、「日本の人事部」編集部が記事を作成しました。同調査の詳しい内容については『労税時報』第3655号(2005年6月10日発行)に掲載されています。
同調査の対象は、労務行政研究所ホームページ上で「本誌購読会員ページ」(労政時報クラブ)に登録、あるいは同研究所調査に回答を寄せた人事・総務担当者のうち、任意に抽出した677人。そのうち123人から回答がありました。
表(1)(5)は、労務行政研究所の同調査の結果をもとに「日本の人事部」編集部が作成しました。また、表(2)(3)(4)は、『労政時報』第3655号に掲載のものを転載させていただきました。


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